始まりの森④〜お兄ちゃんも楽じゃない〜

「まったく,もうだめかと思ったぞ」

「ジャン!! 大丈夫なの!?」

「大丈夫もなにも。このとおり」


背中のかすり傷のように浅く,しかももう治りかけていた。


「ぎりぎり当たるようにかわしたし,しかも速攻で回復魔法で治療した」

「なんだよそれ! もうだめかと思ったじゃん」

「だって,ソラは力を持ってるくせにいつも出さないだろ? だからピンチを演じたんだよ。まったく,お兄ちゃんも楽じゃない。それにしても,一時はどうなるかと思ったけど,何だよあれ。さっきだって凄かったぞ。なんだよあの身体が大きくなって力強さと俊敏さが出てきたと思ったら,華奢でセクシーな体になってえげつない魔法を出すし。おれの名演技なんて屁みたいだったぜ。教えてくれよさっきのやつ」


え。錯覚かと思ったけど,やっぱり身体が変化していたんだ。いまだに自分がやったとは信じきれていない上,身体に異変が起きているなんて。病院で見てもらった方がいいのかもしれない。

 不思議な心持ちのまま,ジャックベアを供養して村に戻った。


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