もしも しもしも
そめそら
第1話 マッソスポラ菌
『そういえば、ハカセが言ってた面白いニュースってなんなんだ?』
『あぁー、これこれ。』
ハカセがスマホで調べて、記事を見せてくれるのであった。
『『マッソスポラ菌??』』
『そうこれ。簡単にいうと、バイオハザードみたいな事が世界で起きているんだよ。』
『はぁ??嘘だろ。そんな事が起きていたら、大騒ぎになってるだろ。』
『確かにね。でも、これって今のところ人間には問題ないみたい。ただ、これが人間にも同じ事になったら、めっちゃ怖いね。』
『ふーん。Dも最後まで読んでみなよ。』
トンビが記事を読み終えたので、スマホを渡してくるのであった。
記事を読むと、これはセミの話らしい。マッソスポラ菌という菌がセミに寄生する事で、感染を拡げるようだ。ただ、感染の拡げ方がエグイ。身体を乗っ取り、ゾンビとなり性交をさせていくようだ。まぁー性交でイクのは、どの種も変わらんのだろうが・・・・・。
ただ、生殖器や腹部が侵食して朽ちていきながらも感染させていくのは、恐ろしい。
それもオスに寄生して、雌のフリをして誘惑しても感染を拡げるだと・・・・・。なんて、こった。こぇーーーーー。それに、幻覚作用もあるとは・・・・・。これが、もし人間だったら・・・・・・・。
『だろ。怖いよな。Dなら、そんな顔すると思っていたよ。』
俺は、想像し顔が引きつっていた。
『Dだと悲しい運命だね。一度も使わずに、朽ちて。しかも、ある意味さ。初がオスかもしれないもんな。』
ハカセとトンビは、ニヤニヤしながら、こっちを見ている。どうせなら、仲間になりたそうな目でみてくれ。
それなら、こっちも返事がないただの屍になるぞ。まぁー、宅のみで黙っているのはあれなので口をきるのだが。
『いや、これは俺にとってはチャンスかもしれん。』
『『はぁ??』』
『意味が分からない。Dの中では、もし人間で起こった時の想像をしたんだろ??』
『っふ。ハカセ。ハカセともあろう方が。トンビの言ったような事が起きると思ったんだろ?ふふふ、浅いぞ。浅浅だ。』
『ほう。じゃあ、聞かせてもらおうか。』
『まず、感染してしまうのは、オス。この時点で、俺らは全員立場が同じだ。』
『確かに。でも、それがどうした?』
『っふ。だから、非童貞共には分らんのだ。Dの一族をなめるなよ。そもそも、立場が同じであって同じでない。これは、どの動物にも言えるがな。』
『ちょっと待て。哲学なのか?D?お前、あだ名をここで、タケストテレスにでもする気か?』
『いや、健だからって、安易っしょ。ハカセ。』
『トンビ。よく覚えてたな。俺の名を・・・・・・。まぁー、それは良いとして。聞け。いいか。同じ人間でもトンビのようにモテる人間と俺のような童貞では、そもそも違うのだよ。例えば、どんなに魅力的な女性がいようが、俺は近づく事さえない。また、相手も寄って来ない。つまり、俺は感染しないのだよ。あははは。』
『『・・・・・・・・・・。』』
『D・・・・・。言って悲しくないか?』
『おい。ハカセ。こういう時は、流してやれ。』
俺は、乾いた笑いしか出なかった。そっと、冷えたビールを喉に押し込み、せめて喉を潤すことにした。
『まぁー確かに、Dが言っている事はありえるな。そして、Dに朗報だ。』
『・・・・・・ロ・ウ・ホ・ウ??』
『おい、心の傷で、壊れたロボットみたいになってるぞ。』
『・・・・・朗報??ハカセ。早く教えてくれ。』
『まぁーそう急かすな。』
そう言い、ハカセはビールを飲み、話し始めるのであった。
『まず、人間に置き換えるとトンビのようなイケメンとそれに関わる女性と一部の男どもに感染していくのだろう。これは、Dが言ってた事だ。ゾンビトンビが男性も相手もするという事は何が起きると思う?』
『トンビは、・・・・・・男もいけるくち・・・・・。』
『おい。なんでそうなんだよ。お前の頭は、どうなってんだ。』
『冗談だよ。トンビ。っで、ハカセ続きを。』
『まぁー、男性のゾンビ率が上がると思うんだよ。そしたら、男の需要が高まるだろ?男女比が一方的になれば、嫌でもDの価値があがる。』
『いやいや、でも世界にはそれでも男はいるだろ。Dの需要が高まるのか?』
『黙れ。トンビ。お前は、ゾンビになったんだ。後の事は考えなくていい。現実を突きつけるな。』
『はいはい。っで、ハカセ。そこん所どうなの?』
『Dの価値は、上がるよ。だって、童貞なのだから。これは、安全が保障されているだろ??』
『『確かに・・・・。』』
Dは、どや顔でトンビを見ていた。それを察したトンビは、引きつりつつスマホに目を通すのだった。
(こいつ。もしもの話で、こんなにどや顔するか・・・・・。まぁー、本人が立ち直っているしいいか。)
『それだと。童貞も悪くないな。良い話だった。ハカセ。ありがとう。希望が持てたぜ。』
『あぁ、俺も良い話題をもってきたかいがあったよ。』
ハカセとDが、無駄に良い話だった雰囲気をかもしだすのであった。
その時であった。トンビが無言で、スマホを渡してきていた。
俺は、それを黙って目を通してみると衝撃が走った。
『な・・・・なんだと。』
衝撃の文章が、そこに書かれているのであった。
成虫になる前に、すでに感染・・・・・・。それだと、俺は結局、童貞のまま・・・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます