第35話 ダンジョン攻略 1日の終わりに

俺の想像通りの能力ならば倒せるはず。


・「俺に力を貸して下さい。」


・マルチ

「任せて。」


・リーシュ

「何をすれば良い?」


・サリス

「ライオットさんに従うわ。」


1番弱い俺に力を貸してくれる。

これほど嬉しい事はない。

本当に素晴らしいパーティーだ、セリスの人柄や器の大きさがみんなを惹きつけるんだな。

凄いリーダーだ。


・「これから俺が直接攻撃を行います。その際マルチは敵の目の前に雷を撃って砂埃を上げてくれ、砂塵が舞ったらその砂埃の中を突っ切ってリーシュさんが攻撃。その間にサリスさんは俺を敵の背後に連れて行ってください、狙いは奴の背中の中心部。」


・サリス

「了解、合図は私が出すわ。」


サリスさんは戦いの流れを観ている、闇雲に突っ込んでも失敗するだけだから隙を探しているんだな。


・リーシュ

「ハリスさん、パターンC!」


リーシュさんが叫んだ。

パターンCって何だ?


・ハリス

「OK、リーシュ嬢。

決めてくれよ。」


するとハリスは盾を下げる。

そして敵の攻撃をワザと受ける。


・ハリス

「ぐっ、、、!」


ハリスさんがフラつく、、、

敵はそれを見て大振りで殴りにくる。

トドメを刺す気だ。


・ミミ

「そこだっ!」


敵が腕を振り下ろそうとした瞬間、ミミさんがハリスさんを抱えて離脱する。


・セリス

「動きを止めてやる。」


セリスが敵の足と振り下ろした腕を凍らせる。


・サリス

「今よっ!マルチ」


・マルチ

「はいっ!」


『神雷』


ドゴーン


敵の視界が完全に塞がれる。


・リーシュ

「やぁぁぁぁぁぁぁ!」


砂埃を突っ切って真っ直ぐ突進し潜り込む。リーシュの物理攻撃が敵の腹に炸裂、前のめりだった敵の体制が完全にくの字に曲がりセリスの氷が砕けて少し浮く。


・サリス

「取った!」


サリスさんが俺を抱えながら敵の背中を取る。

目の前には無防備な敵の背中の中心。

凄まじい連携だ、これを生かさなければ。

絶対に決める!


俺は右手に杖、左手に剣を装備する。

そして敵に直接触れさせる

そこで、、、


『フレイムスピア』

『ウィンドブレード』


・「くらえっ!」


同時に敵の中心目掛けて魔力を流し込み切り離す、切り離した魔力は自分たちが離脱する為に直ぐには発動させない。

十分な距離を稼いでから魔力発動。


・「砕け散れっ!」


『属性融合・核熱』


敵の中にある魔力を解き放つ。

風属性は内部から渦巻き切り刻み、火属性は風魔法を受けて激しく燃え上がり炎となる、そして敵を内部から爆発させる。炎は風を纏い更に温度を上げて敵を溶かしながら吹き飛ばす。


・『ガーディアン改良型Θを倒した』


・セリス

「ははっ、、、スゲェ。」


・ミミ

「ライオット、、、凄い。」


・ハリス

「これは驚いた、想像以上だ。」


・リーシュ

「ライオットさん、流石です。」


・マルチ

「流石、私のライオット。」


・サリス

「本当に敵にはしたくないわ。」


・「良かった上手くいった。」


俺の安堵の言葉にサリスさんが気付く。


・サリス

「確証があった訳じゃないの?」


・「えっ?はい、何となく行けるかなって。一応検証結果から導き出した答えでしたけどやっぱりやってみないと解りませんしね。」


・セリス

「ふふふ、ライオットらしいな。

結果倒せたから良しとするぜ。」


・サリス

「確かにね、今回はライオットさんが居なかったらヤバかったわ。ガーディアンか、色んな敵が居るわね。」


リーシュさんがハリスさんを治療している。

掠った程度なのに結構ダメージが入っている。


・「大丈夫ですか?俺の無謀な作戦のせいで申し訳ありません。」


・ハリス

「謝る必要など無いさ、パターンCって言ったら攻撃を喰らいつつ敵の意識をコッチに持ってくる作戦だ。所謂カウンターってやつだな、見事な作戦だった。」


ハリスさんめちゃくちゃカッコいい。


・ハリス

「褒め言葉ありがとうよ、盾役の醍醐味だね。」


あっ、声に出てたみたい。

恥ずかしいけど本当の事だし良いか。

この人すっげぇカッコいい。


・ハリス

「ウチにはリーシュ嬢と言う優秀なヒーラーが居る、ウチ独自の作戦だな。」 


・リーシュ

「はい、終わりました。

痛いところは有りますか?」


・ハリス

「大丈夫だ、ありがとう。」


ハリスさんが立ち上がる。


・ハリス

「どうだい?セリスさん、敵の戦利品はどんな塩梅だ?」


・セリス

「金の宝箱だ、初めて見たな。

本当に存在していたんだな。」


・サリス

「本当ね、ガーディアンが護っていたのならそりゃ今まで見た事ない訳だわ。」


・マルチ

「綺麗な箱、宝箱見たの初めて。」


・ハリス

「苦労した甲斐があったな。ふふふ、こんなに興奮するのは久しぶりだ。」


・リーシュ

「凄いですね、金の箱は軍でも聞いた事ありませ、、、ん?そう言えば昔オーランド総統が見つけたって話がある位じゃ無いかしら?」


・ミミ

「ママも開けた事あるみたいだよ。

この首飾りはその時のものだし。」


ナナさん、やっぱり高レベルの冒険者なのかな?てことはガーディアンを倒したって事か、凄いな。その2人のおかげでガーディアンと言う名の記録が残っていたのかな。それぞれの特性があったと言う事は倒し方も違ったんだろうね、面倒な敵だこと。


・サリス

「うん、罠は仕掛けられてないわね。

セリス開けていいわよ。」


・セリス

「ありがとうサリス。

じゃあ開けるぞ、、、。」


金の宝場を開けると光が周囲を包む。

そして様々なアイテムが目の前に現れた。

ちょっとまて箱の大きさと中身がおかしい。

どう言う原理だよ!


・セリス

「こんなにアイテム出るんだな、恐るべし金の箱。、、、あ、【原初の果実】発見!初日で最低限の目的達成だぜ!」 


・サリス

「凄いわね、とりあえずミミ、鑑定宜しく。」


・ミミ

「はーい!んじゃ待っててね。」


ミミさんがアイテムをせっせと仕分けしている。


・リーシュ

「ライオットさんお怪我は有りませんか?」


・「大丈夫ですよ〜。」


・リーシュ

「肘から血が、いま治しますね。」


リーシュさんが治療魔法を掛けてくれる。

そうだ全員の魔力を回復させておこうかな。


・「なあ、セリス」


・セリス

「何だ?何かあったか?」


・「みんなにさ、これ掛けていい?」


俺は『癒しの鼓動』個人バージョンをセリスに掛ける。


・セリス

「あっ、ふ、ふぅ、、、驚いた。そうね、このPTメンバーならみんなに知られて良いかも知れないわ。」


・ハリス

「せ、、、、セリスさん?」


・セリス

「あ、、、な、何でもねぇ。ライオットいきなりやるのは卑怯だ!ハリス今のは忘れろ、良いな!」


セリス必死だな。

可愛いから良いと思うんだけどな。


・セリス

「まあ良いだろう、みんな今から起こる事は他言無用で頼む。ライオット、やってくれ。」


・「行きます、『癒しの鼓動』範囲バージョン」


・マルチ

「んっ!」


・サリス

「あぅ、」


・リーシュ

「あぁ、」


・ミミ

「んんん!」


・ハリス

「ぉぅ、、、」


ごめん、ハリスさんで台無し感が凄い。

声だけ聴いてたら変な想像してしまう。


・ミミ

「何何?何があったの?何か凄い気持ち良かった、あれ、魔力が回復してる?」


・ハリス

「これをライオット君が?」


・「俺って魔力を回復出来んるです。」


・ハリス

「す、凄いな。だからさっきセリスが色っぽくな、、ブホッ」


セリスの小型氷塊がハリスさんの顔に直撃する


・セリス

「忘れろって言っただろ!」


顔が赤いセリス。

照れなくても良いのに。


・ミミ

「ライオット、ライオットもう一回やって!ねぇねぇ。」


ミミさんが擦り寄ってくる。


・リーシュ

「ミミさん、アレは魔力が減ってないと効かないですよってか、近いです〜!」


ミミさんがグイグイ来るぞ。

ちょっと顔がウットリとしている。


・マルチ

「ミミ、近い、近い。ライオット、ミミには鼓動禁止!」


・ミミ

「もっとぉ!、、、ブベッ」


ミミの横っ腹にも小型氷塊がヒットする。


・セリス

「ミミに鼓動は危険だな。今後は禁止にしよう、、。」


・ミミ

「あぅ痛いよぉ、もう意地悪ぅ。」


・サリス

「はいはい、じゃあ現実に戻って!

ミミ、アイテムはどうだった?」


・ミミ

「いやはや流石は金の箱、レアな物が一杯だったよ。ひとつずつ説明していくね。」


・ヒールリング 神器

傷が徐々に癒されていく。


・鬼殺し レア

戦斧 筋力補正100


・マジックリング 激レア

魔法攻撃力アップ 魔力量アップ


・星屑ロッド 神器

魔力攻撃力アップ 魔法ダブル


・マインドリング 神器

魔力が徐々に自然回復 


・マジックバック 神器

中身の時間が止まるアイテム鞄

要領 特大


・魔法鞄 激レア

魔法物に限り、幾らでも入る鞄


・エリクサー 神器

万物の傷や病いを癒す奇跡の薬


・疾風のイヤリング 激レア

装備補正 俊敏性+150


・ミミ

「後は私達に関係ない物から売れば良いかも。あ、魔法石はライオットで良いよね?」


全員一致で魔法石を俺にくれた。


・「ありがとうございます。」


・サリス

「では配分していくわね。

まず、ヒールリングはハリス。

疾風のイヤリングはミミ。

マインドリングはリーシュ。

マジックリングと星屑ロッドはセリスとマルチで話し合って、残りの物を私とライオットさんが一つずつ選んで決めます。その他に残った物は欲しい人が居たら話し合いましょう。」


・セリス

「しっかし神器がこんなにも出るもんかね?あり得ないよな?」


・ハリス

「あぁ、信じられないな、だがお陰でパーティーはかなり強くなるからありがたい限りだ。」


・リーシュ

「ガーディアンがあれ程強かったですからね。

ホント、勝てて良かった。」


宝箱の中身は満足する結果だった。

そして、、、

サリスさんの的確な分配で問題なく分け合う。

結局、星屑ロッドがセリスにマジックリングがマルチに渡る事となり俺は魔法鞄を貰った。


これで魔法石が幾らでも所持できる!

サリスさんはマジックバックを選んだ、料理をそのまま入れても出した時は熱々で食べれたりする。


・サリス

「後は鬼殺しとエリクサーかしら。

誰か欲しい人はいる?」


誰も手を上げない。

あれ?余り良くないアイテムなのかな?

エリクサーとか効果を考えると凄そうだけど。


・ハリス

「推薦しよう、エリクサーはライオット君が持つべきだ。」


ハリスさん?

突然言われてビビった。


・ハリス

「彼なら間違った使い方をしないだろう、1番有効的に使いそうな予感がする。どうだろうか?」


・セリス

「アタシは賛成だ。ハリス良いこと言うな、見直したぜ。」


セリスに褒められハリスさんが嬉しそうだ。


・マルチ

「ライオットなら納得。

私には使いこなせない。」


・ミミ

「アタシも賛成だよ。

ライオットなら安心。」


・リーシュ

「異論はありません。

ライオットさんが貰うべきでしょう。」


・サリス

「凄いわね、エリクサーってパーティ内で殺し合いが起こる程貴重な物なのよ?売れば国を買えるなんて言われる代物。それを全員一致で1人に託すなんてライオットさんは信頼されてるのね。」


・「そ、そんな貴重な物貰えませんよ。」


・ハリス

「良いんだ、君が持っているべきだ。

君なら必要な時に惜しまず使える。

そんな気がするんだ。」


・セリス

「好きに使えば良い。

お前の物だ、気にするな。」


うはぁ、凄い物が俺の所に。

まあ、良いか、邪魔な物でないし。

唸れ、俺の順応スキル!


・「で、では、有り難く頂戴致します。」


・サリス

「よし、これで終わりね。」


・マルチ

「鬼殺し、、、、」


・サリス

「あ、、、、、」


、、、沈黙が流れる。


・セリス

「ハンダの奴にあげとくか?

ライオットに壊されたし。」


あの時、あいつ半泣きになってたしな。


・リーシュ

「ハンダさん喜びますよ、武器が無くなってから凄く落ち込んでたし。」


・マルチ

「どうでも良い。」


・ミミ

「ふっふふ、疾風のイヤリング!

素敵な装備!」


・ハリス

「決闘相手だっけ?レア武器の鬼殺しを壊したって本当か?ライオット君は恐ろしいね、確かにレア装備を壊されたら泣きたくなるからな。よし、ならハンダ君に贈ってやるか。」


何故か鬼殺しはハンダに贈る事となった。

そして残りのアイテムを整理して野営地に戻る。


その後、寝る前に話し合いをした。

話し合い?ではなく尋問かな?

ガーディアンを倒した件について、、、


・サリス

「では始めます。ガーディアン討伐までのライオットさんの検証から行動のすべてを教えて貰います。」


みんながワクワクしている。

どうしよう、ちょっと怖い。


・「で、では最初から、まず違和感を感じたのはサリスさんとミミさんの攻撃です。サリスさんの魔法攻撃は当たった様子が無い、ミミさんの攻撃は当たったが威力が少なかった。ここに違和感を覚えました。」


・ハリス

「ふむ、進めたまえ。」


・「はい、それから随時攻撃していたセリスの魔法も効かなかったので仮説を立てたんだ。相手は魔法が効かないんじゃ無いかと。魔法無効か、魔法吸収の能力を持っていると考えた、つまり魔法障壁だ。」


・ミミ

「だからアタシの『火の拳』の火が消えたんだね、殴る攻撃しか当たらなかった。」


・「その通り、そしてこの中で1番物理攻撃が強いと思われるミミさんの攻撃でも倒せなかった、ならば魔力を使わないと倒すのが困難だと考えたんだ。」


・セリス

「だが魔力障壁がある限り魔法は効かない、どうしたんだ?」


・「検証してみたんだ、ガーディアンの特殊能力を調べようとした。魔法の無効がどの範囲でどの程度なのか、具体的にやった事はマルチの連続魔法とリーシュさんの投げナイフ、更に俺の投げナイフだ。そして『魔法石粉塵爆弾』の一撃、これでアイツの能力を暴いたんだ。」


・サリス

「あの時の?やっぱりそうだったのね。」


・「まずはリーシュさんのナイフで物理攻撃は普通に当たる事が解った。

俺の投げナイフでは風魔法で細工をして投げた。結果はリーシュさんのナイフと同じ位の傷だった。つまり風魔法を無効化したって訳になるよね?」


・セリス

「そうだな、だがそれは解ってた事だよな?」


・「あぁ、確信が欲しくてね、失敗したくなかったし。そしてマルチのあの魔法、あれでも無傷だった。魔法障壁は完全魔法無効って事だと推測された。」


・リーシュ

「あの魔法は凄かったです、3属性を使うなんて信じられませんでした。」


・ハリス

「あぁ、あれには本当に驚いた。」


・「最後に『魔法石粉塵爆弾』だ。あれは魔法石の粉に熱を加えて連鎖的に爆発する攻撃なんだ、言ってみれば全方位攻撃って感じかな。

ダメージはあったでしょ?

でも背中は余りダメージは無かった、粉を爆破させた敵の前側と後ろの違いはわかる?」


暫く沈黙、、、そして


・ミミ

「あ、前側は粉が一杯付いてた。」


・「正解!そこから求められる解を見付けたんだ。つまりアイツの魔法障壁は体の周りに展開してあるだけで体の表面自体、実は魔法に弱い。更に魔法では無い只の爆発の熱には反応しない。もしも熱に反応しているのであれば無傷で魔法障壁に守られた粉が体に付着し残っている状態で立っているはずだからね。要するに相手は物理耐久と魔法障壁、そして再生能力を持つが弱点は魔法攻撃。これがガーディアンの特性だ。」


・ハリス

「何とも厄介な敵だな、良くあの短時間で見つけたな。」


・「皆さんが俺に観察する時間と検証する時間をくれたので、本当にありがとうございました。」


・サリス

「それで?弱点は見つけても魔法を当てられないでしょう?でも貴方は魔法で倒した、そのカラクリを教えて。」


むむ〜どうしようかな、、、

まあ良いか仲間だし。


・「では説明しましょう、魔法障壁が邪魔なら内側から魔法を当てれば良いと考えたんです。だから俺は杖と剣を使って直接魔力を流し込んだんだ。直接武器を当ててから魔力を使った、これなら魔法障壁は関係ない。そして内部で魔法を発動させた、これがガーディアン討伐のカラクリです。」


・ハリス

「魔力を流し込む?内部で魔法を発動?そんな事が可能なのか?いやまさか。」


・マルチ

「普通なら無理、魔力コントロールと魔力加工が職人級で出来るライオットだから使える技、発想がとんでもない。」


・ミミ

「そっか、私も出来るかと思ったのに。」


・サリス

「さてと、謎も解けた所で明日もあるんだから今日は眠らなきゃね。で〜も、ライオットさん、セリスに聞いたわ。お風呂作れるんですってね?お願い作って〜!」


思いもよらないお願いが飛んできた。

まあそれ位なら、、


・「ではサクッと作ってきますね。」


俺は急いで大風呂を作る。

女性陣が一気に入れる大きな物を。


・サリス

「はぁ〜、ダンジョンでお風呂って最高ね。」


・ミミ

「凄いね最高!あったかいし楽しい!」


・セリス

「こんなにデカイ風呂を作るとは、ライオットは本当に便利だなぁ。」


・マルチ

「ふぅ〜、、極楽極楽。」


・リーシュ

「ライオットさんって本当に素敵ね」


リーシュのこの何気ない言葉が戦いの始まりだった。


・セリス

「なんだぁ?リーシュさんはライオットが好きなのかな?」  


・リーシュ

「なっ!なんて事言うんですか!そんな事ない、事もない。」


リーシュが赤くなる。

口まで浸かってブクブクしている


・マルチ

「ダメ、リーシュでもダメ!ライオットは私の騎士だもん。」


・セリス

「知ってるか?騎士と姫は結ばれないんだぜ?」


・マルチ

「なっ、そんな事ないもん!

絶対にそんな事ないんだから」


涙目になってマルチが否定する。


・サリス

「2人に色々と言ってるけど貴方も気が気でないのね、ライバルが一杯で大変ね。」


サリスがニマニマしながら言い放つ。


・セリス

「ね、姉さんはちょっと黙ってて!私は別にそう言う気持ちじゃなくて、仲間として支えていきたいと言うか、その、なんだ、、、アレだ、アレ。」


・マルチ

「セリス、、、、可愛い。」


マルチの一言でセリスの顔が真っ赤になる。


・セリス

「くっ、くそ。べ、別に良いじゃないか誰が誰を好きでもさ」


・リーシュ

「ふふふ、わかりやすい。

セリスさんは可愛いですね。」


・セリス

「リーシュまで、やめてくれぇ〜。」


からかうつもりだったセリスが見事に墓穴を掘った、いつも強気なリーダーが押されている。

サリスは楽しそうに笑っている。


そんな賑やかな中でミミはボーッとしていた。

いつもなら真っ先にはしゃぐミミが、、、


・サリス

「あら、ミミどうしたの?

のぼせちゃった?

倒れる前に出なきゃダメよ?」


・ミミ

「あのさ、ずっと考えてたんだけど。」


・セリス

「どうした?言ってみろ。」


・ミミ

「ライオットをママに遭わせても良いかな?アタシ、ライオット好きかも。」


1番自分に正直なミミの発言に場が固まる。


・ミミ

「なんでだろ?何かね、好き。

ライオットは何考えてるか判らないし、まだそんなに一緒に居ないんだけど、好きになっちゃった。」


・サリス

「あらあら、ここにもライバルが。

あぁ、ローズと話したいわ。

土産話が初日から溢れてる。」


その後は、妙な距離感で口数も少なく。

そのまま悶々とした気持ちのまま眠る事になる。


一方、、、男湯では。


・ハリス

「ふぅ〜、まさかダンジョンで風呂に入れるとは思わなかった。ライオット君に礼を言うよ。」 


・「いえいえ俺にはこれ位しか出来ないので、皆さんの連携は本当に見事でした。」


・ハリス

「ふっ、君も十分凄かったさ。

君と共に戦えて光栄だ。」


ハリスさん本当にカッコいいな。

こりゃ憧れる人も多いだろうな。


暫く沈黙の後、、、


・ハリス

「ライオット君あれは『魔装術』なのか?」


サクッとバレてます!

ハリスさん知ってるのか?


・「良く解りましたね。

その通りです。」


・ハリス

「やはりか、まさかまだ使える者が居るとはな。君は何者なんだ?」


ハリスさんが俺を見つめる。

すみません、俺の他にもう1人使えます。

そして何で答えればいいんだろう?

困っていると、、、


・ハリス

「すまん忘れてくれ、ついつい知りたくなってな。謝罪ついでに教えておこう。『魔装術』とは昔ドワーフと言う種族が使っていた戦闘技術の事だ。物作りに長けた種族だったがある時とんでもない武器を作ってしまってな、その武器を狙って各国から狙われたんだ。その時、数で押されて滅びそうな国を救うために作り出された技術が『魔装術』だ。一撃必殺のこの技を駆使して危機を脱したかに見えた、だが1人の裏切りの為に滅びた。裏切り者はドワーフの王だった。

王は1ヶ所に全ての国民を避難として集め虐殺したんだ。

やり方は実に簡単だった。

ドワーフの砦は地下にある。

崩落させて民衆を殺した。

そしてドワーフ王は魔族に亡命する。

しかし亡命先で処刑された。

こうしてドワーフと言う種族は途絶えた。」


・「壮絶過ぎて何と言っていいか。

ハリスさんはどこでその話を?」


・ハリス

「なに、俺は世界中を旅しているからな、ある国の古代図書館で文献を見ただけさ。だが実際に『魔装術』を見る事ができた。君のその技は言ってみればロストテクノロジーだ。誰も知らないが確かに歴史にあった技、君は誰に教わった?」


・「えっと、試行錯誤の賜物と言いますか、自力で思い付いたと言いますか。」


・ハリス

「なんだって?本当かい?

いや、君は嘘をついている様には見えないな。

そうか、自ら辿り着いたのか。

確かに昔あった技だから賢い君なら辿り着けるかもしれないな。しかし本当に君には驚かされてばかりだ。

今後とも宜しく頼むよライオット君。」


・「こちらこそよろしくお願いします。」


ハリスさんか、この人何か隠してるんだよな。でも悪い人ではなさそうだし気にしなくて良いかぁ。


こうしてダンジョン1日目は過ぎて行く。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る