第3話 トリナ村へ


俺はリーシュさんの後ろを走って着いていく。

てかリーシュさん速い!

マジか、めっちゃ速い。


・リーシュ

「大丈夫ですか?

もう少しスピード落としますか?」


・「だ、だ、大丈夫です!

お、お気に、なさ、らず、に」


息も切れ切れだが、俺にもプライドがある。

出来るだけ平気を装って返事をする。

よし、完璧だ。


・リーシュ

「次の交差点を右に曲がったら真っ直ぐなので、先に行きますね。

あと少しなので頑張って下さい。」


えっ?まだスピード上がるの?

と、思った瞬間。リーシュさんのスピードがグングン上がってそのままカーブを曲がって行く。


・「うはぁマジか、はんぱねぇ。

人ってあんなに速く走れたっけ?」


俺が曲がり角を曲がった時。

リーシュは既に大きな門に到達していた。


・「うそだろ?四百メートル位あるんじゃないか?

恐ろしい子!

ほんの数秒位しか離れて無かった気がしたのに。

ん〜、ファンタジーや。」


案外気楽に考えつつ。

白堊門へと急ぐ俺であった。

白堊門では5人の兵士が整列をしていた。


・兵士

「2班、総員5名。

魔力回復薬20 傷薬50

補給物資の武器、馬車入れ完了。

いつでも出発出来ます。」


・リーシュ

「ご苦労様。

ではこれよりトリナ村へ向かうが、

その前に報告がある。

今回のは1人助っ人をお願いした。

先ずは軽く紹介する。」


リーシュさんがこちらを見て手招きをしている。

待って、もう少し、もう少しだから。

めっちゃ頑張って走ってますから


・「はぁはぁはぁ、」


・リーシュ

「大丈夫ですか?」


・「だい、じょぶ、です」


ざわざわ、

5人の兵士がざわついてる。


・兵士

「隊長、この方は一体?」


・リーシュ

「この方は今回、助っ人を頼みました・・」


・兵士達

「ゴクリ(5人」


・リーシュ

「どなたでしたっけ?」


・兵士達

「ブハ(5人」


そうなりますよね!

まだ名乗ってないし。


・リーシュ

「えっと、軽く紹介とかして貰って良いかな?」


少し顔を傾けながら聞いてくるリーシュさん。

癒されるわぁ〜


・「はい、えっと、私、いや俺は・・」


・兵士達

「ゴクリ(5人」


どうする。本名で言えば良いのか?

今回はちゃんと思い出せる、頭痛もしない。

でも、、、

女神様は新しい人生を生きてと言ってたよな。

なら、


・「私の名はライオットです。

宜しくお願いします。」


その瞬間、体が熱くなった。


・新しい世界で生きていく意思を確認。

女神の慈愛発動。

スキル周辺マップ取得

スキル自動マーカー取得

レベル、スキル数値ロック解除

技能取得ロック解除  


無機質なアナウンスと共に

淡く体から光を放った俺。 

アナウンスは聞こえてないだろうが、

体が光るから変に目立ってる。


ざわざわ、

5人がざわついてるぞ、

他に何か言わなきゃ。

何言ったら良いかわからない。


・「り、リーシュさんの力になれる様に頑張りますので宜しくお願いします。」


・リーシュ

「ではトリナ村へ向かう。

ライオットさんは馬車に乗って下さい。

出発!」


自分だけ馬車に乗るのは申し訳ない気がしたが、周りの足の速い事、速い事。


・「うん、何も言えないね。

大人しく馬車に乗っとこう。

さっき取れたスキル確認もしたいし。」


スキル 周辺マップ。

周辺のマップが分かります。


スキル 自動マーカー

敵対、赤 中立敵対、黄色  

中立、白 味方、青

採取ポイント、緑

でマップに表示される。



・「成る程、わかりやすい。

ロック解除された項目はなんだろ?

名前から何となく想像出来るけど。

試してみるかな。

とりあえず、この剣を借りてと」


ブン、ブン、ブン


・剣術スキルを解放しました。


・「おお、思った通り。

多分これが技能ロックだな。

スキル数値ってのは熟練度かな?」


・ステータス


ライオット

レベル 1

筋力7

知力12

俊敏性12

スキル

周辺マップ、自動マーカー、自動精神回復、

順応力

技能

剣術レベル1

魔法

癒しの波動


・「おお!地味に強くなってる。

これは検証したり、走ったりしたから数値が上がったのか?

こりゃ楽しいな、じっくり育てていけそうだ。

それに技能も沢山ありそうだし、採掘ポイントがマーカーでわかるから採掘技能も上げやすそう。採掘技能があるならね。

まあ、いいや、少しずつやって行こう。」


それからまた考える。


・「他には、マップの見方を、、、

思い浮かべると意識の右上に表示される感じか、

今は、青のマーカーが6つあるは・・ず。

ん〜、青1の白が5つか、

兵士さんは味方表示になってないや。

グスン。

他に、何か無いかな〜・・。」


・兵士

「隊長、ライオット殿とは一体どの様な方なのですか?(光ってましたよ?」


・リーシュ

「彼は私達のサポートとして来ていただきました。詳細は話せませんが、きっと助けになると思います。(光ってましたね。」


・兵士

「そ、そうですか。隊長が言うのであればきっと凄い方なのですね。(光ってましたし。」


馬車の中であれこれ試しているうちについつい夢中になってしまった。結果、村に着く頃には


ステータス

ライオット レベル1

筋力 7

知力 16

俊敏性 12

スキル

精神自動回復、周辺マップ、自動マーカー、順応力

技能

剣術レベル1

杖術レベル1

盾術レベル1

魔法

癒しの波動


・「フフフ、、、

技能が増えていくのがめっちゃ嬉しい。

早くレベルも上げていきたいなぁ。」


・リーシュ

「では走りながら聞いて下さい。

村に到着後は先行した班と合流、

物資の仕分けをして運びます。

カンナとリンの2名は薬品を医療場に

ゴウ、ラーク、サジの3名は馬車で武器を前線基地に輸送、武器を下ろしたら負傷者をこちらに運ぶ様に手配後、向こうの指示に従いなさい。

ライオットさんは私と一緒に本部に行きます。」


・兵士と俺

「了解×5、はい!」


俺だけ返事が違ったが、まぁ良いか。

兵士じゃ無いし。

すると馬車が止まる。

俺は急いで荷台から降りると、兵士がテキパキと荷物を下ろして次の行動に移行する。

スムーズだ、流石は軍隊。


・リーシュ

「ライオットさん、こちらに。」


リーシュさんに言われてついて行く。

建物の裏手にて、


・リーシュ

「ちょっとここで待っててください。」


建物の中に入って行ったリーシュさん。

流れでここまで来てしまった俺は、内心ビクビクで周りをキョロキョロ。


・「これが作戦本部の基地になるのかな?

あそこに固まって保護されてるのが村人かな?」


自分なりに周りの状況を確認していく。

あそこの建物が医療場所になっていて、

広場で怪我人を分ける様にする感じかな?

トリアージだっけ?

あれ、トリアージは現場でするんだっけ?

ドラマ知識だからよくわからん。

まだ怪我人は運び込まれて無いみたいだ。


・リーシュ

「お待たせしました、ライオットさん。」


・「あ、リーシュさん、おかえりなさい。」


・セリス

「お?何でテメェがここに居るんだ?」


リーシュさんの後ろからピョコンと現れたのは、ギルド長のセリスさんだ。


・「せ、セリスさん。

その節はどうもお世話になりました。」


俺は半分ビビリ気味に言う。


・セリス

「おう、いきなり倒れたからビックリしたぜ。

んで、ライオット?でいいか?

何でここに居るんだ?

ギルド登録まだだろう?」


うぅ、

セリスさんのプレッシャーご相変わらずキツイ。

て言うか怖い。


・リーシュ

「今回は私のお願いで来ていただいたんです。」


・セリス

「リーシュが?

また何で?

使える程強いのか?」


ドキッとした。

俺は強くないです。


・リーシュ

「いえ、

戦闘要員ではなくサポートで来て頂きました。」


ええ、私戦えませんから。

戦った事ないですから。


・セリス

「ほぅ、サポートか、使えるのか?」


・リーシュ

「えぇ、必ず必要になるかと。」


リーシュさんのドヤ顔を見て、セリスさんがこちらを見る。


・セリス

「よし、解った。

リーシュがそこまで言うなら使ってやる。

これから一緒に前線に行くぞ。」


・リーシュ

「はい」


・「ええ?ぜ、前線ですか?

俺、役立たずですよ?」


・セリス

「黙って付いて来ればいい。

リーシュ、良いんだな?」


・リーシュ

「ライオットさんなら大丈夫です。」


話がどんどん進んで行く。

前線って行っても大丈夫なのか?

めちゃくちゃ怖いんですけど。


・セリス

「よし、行くぞ。」


・リーシュ

「あ、セリスさん、ちょっとお願いが。」


・セリス

「ん?どうしたリーシュ。」


リーシュさんがセリスさんにあるお願いをする。

そして、森の中を3人が走り抜ける。


・セリス

「おい、リーシュ。

何でアタシがコイツを背負って走ってるんだ?」


・「何だか、すみません。」


小さなセリスさんに担がれながら謝る。


・リーシュ

「ライオットさんは、

あの、その、

あ、余り走るのが得意じゃ無いみたいなので。」


・「何だかすみません。」


自分の不甲斐なさが身に染みて涙が出る。


・セリス

「ったく、助っ人に来たのか邪魔しに来たのかどっちかわかんねぇよ。」


・「何だか、すみません。」


もう、景色が歪んで何も見えないよ。

心に突き刺さるよ。


・セリス

「だぁ、もう、謝んな。

わかったから泣くな。」


な、泣いて無いもん。

目から汗が出てるだけだもん。


・セリス

「現地に着いたらきっちり働いて貰うからな?」


こわいよ、自信ないよ、帰りたいよー。


・リーシュ

「大丈夫です。

ライオットさんが居てくれて良かったと。

必ず思いますから。」


リーシュさんのその自信はなんなんだろう。

重圧に押しつぶされそうですよ!


・リーシュ

「そろそろ前線基地に着きます。」


前線って事は敵地の近くって事だよな。

怖い、とにかく怖い。

とりあえずマップ見てと、

あれ?

赤点がある。敵?


・「セリスさん、

右斜前方に敵影3です。」


・セリス

「何?まだ基地手前だぞ?

間違いじゃねぇか?」


・「このまま進めばもう少しで遭遇します。」


・セリス

「ちっ、考えてる暇は無いってか。

よし、迎撃する。

ライオット、降ろすから着地しろよ?」


ええ?着地って何?

ちょっと、セリスさん?

ちょっ、いやぁ、投げないでぇぇ


・セリス

「リーシュ、確認したか?」


・リーシュ

「はい、オークが3匹居ます。」


・セリス

「よし、一匹は任せた。」


俺は見事に?着地に失敗。

地面をゴロゴロと転がっている。

やっと止まった頃にはオークが3匹倒されていた。


・セリス

「ライオット、知らせてくれてありがとよ。

お陰であいつらが構える前に倒せた。

しかし、もっと上手く着地出来なかったのかよ。」


ケラケラと笑いながら、左手を差し伸べてくれるセリスさん。

右手には小さめの杖を持っている。

いつの間に?

その姿がとても凛々しくて、綺麗だった。


・「綺麗だ、、、」


・セリス

「なっ!

何言ってんだ。

頭でも打ったのか?」


不覚にも声に出ていたらしい。

ちょっと顔を赤くしながら照れてるセリスの姿が可愛らしく思えた。


・セリス

「おら、とっとと立て。」


可愛くても、セリスさんはセリスさんであった。


・セリス

「リーシュがオーク共を調べいる、合流するぞ。」


そう言ってリーシュさんの元へ向かった。


・セリス

「どうだ?」


・リーシュ

「はい、やはりおかしいですね。

三体で行動しているのもおかしいですが、妙にバランスの取れたパーティーになっています。」


・セリス

「やはりか、こりゃ上位種がいやがるな。

明らかに指揮してる奴がいる。

基地の裏手に敵がいるって事は囲む気か?

ライオット、他に敵が居るかわかるか?」


もう一度マップを開いてみる。

今度は意識を広げてみると、マップの範囲が少し大きくなった。


・「えっと、ここから10時方向に三体。

更に2時方面に三体、少し離れて真っ直ぐ行ったところに五体が居るみたいです。」


・リーシュ

「凄い。」


リーシュは感心していた。


・セリス

「ほぅ、ライオット、やるじゃねえか。

包囲して一気に仕掛けるつもりだな、

リーシュ、基地に行く前に近場の奴らを叩くぞ。」


・リーシュ

「はい。」


こうして、残り計11体のオークがセリス達に奇襲をかけられてなす術もなく倒された。

俺も、なす術もなく見守るしか出来なかった。

何せ、レベル1ですから。


・セリス

「よし、裏手は粗方片付いたな。

基地に行くぞ。」


オークの包囲網を崩す事に成功した3人は前線基地へと向かう。

1人は相変わらず担がれながら。

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