番外編1町倉紗江の想い

高校に入って、初めての夏休み。

夏休みの中盤にさしかかったある日の水曜日。

ひざしが照りつけ、身体から汗がふきだしてくる。

外を歩いていた私、町倉紗江は幼馴染みの瀬尾奏太の姿を見つけて、彼の後を追いかける。

30分ぐらい経っただろうか、そう思いながら私は彼を追いかけていると、立派な家に入って行く奏太。

家の表札には牧とあった。

私は何故ここに奏太が入っていったのかわからなかった。

昼過ぎに家から奏太が小柄な女子と手を繋ぎながら出てきた。

二人とも笑顔だった。

私の中でモヤモヤとしたものが膨れていく。

何で女子といるのか、もし私が断らなかったら、奏太の横にいるのは私だった。

なんで私は、奏太の告白を断ってしまったんだろう。

そんなことを思っていると涙が流れてきた。

本当は、好きな人なんていなかったのに、なんであんなこと言っちゃったんだろ。

私は、その場を離れ近くの喫茶店に入った。

何を頼んだのか、覚えていない。

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