第6頁「猫の鳴き声」
にゃ~お…
にゃ~お…
「おっ?来た来た。」
大学時代に僕が住んでいたアパートの部屋の窓を開けた先には空き地があり、そこにはたまに野良猫がくることがあった。
動物好きな僕は、猫がくると、余った食べ物を二階にある自分の部屋の窓から野良猫に向けて投げていた。
しかし、その日はどこを見ても猫の姿はなく、空き地の前の通りにある電信柱の下に女が一人立っているだけだった。
「あれ?おかしいな…鳴き声したのに…」
にゃ~お…
にゃ~お…
「おっ?やっぱりいるな。どこだ?」
独り言を呟きながらもう一度目を凝らして見渡してみたものの、やはり猫の姿はなく、鳴き声だけが響いていた。
にゃ~お…
にゃ~お…
段々と大きくなる猫の鳴き声に早く餌をくれとせがまれている気がした僕は、食べ物を手にして外へ行って探してみたが、やはり空き地に猫の姿は無かった。
にゃ~お…
自分の後ろから鳴き声が聞こえたので振り返ると、そこには………
さっき窓から見た女が猫の鳴き声を発しながら真っ正面から僕を見ていた。
にゃ~お…
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