第170話GW明けに

GW明けに 

【GW明けに】 


あれから、あいつはちょこちょこ純に話しかけてくるし、飲みに行こうと誘ってくることも、『用事があるから』と言って断ればそれ以上は誘ってこないけど。

純もあやしいと思い始めているから……大丈夫とは思う。

大きな動きもなくなんとか平穏が続いて

社会人になってから、初めての連休。

5月1日2日が土日で5日までお休み。

29日はあいつをどうしようか考えながらだらだらとイチャイチャ家で疲れをとり、

1日から・・・お泊りデート。

最初はどこかに小旅行と思ったけど、どこも人だらけで混みまくり、と思っていたら

純が、思い出のジャンサインのお泊りデートがすごく印象に残って、また行きたいって、

なんとかプラネタリウムとホテルの予約。

前回のような新鮮味はないけど、ゆっくり落ち着いて楽しむ。

あの時の事を思い出しながら、2人苦しんでやっと、もとに戻って、これからって言う時のあの幸せな気分を思い出しながら、アリクイがかわいくて、それを眺め、そして2人で寝そべって綺麗な夜空を眺め、ホテルでフレンチを食べ、そして朝まで何度も愛し合って×××純はトロットロふにゃふにゃに その顔をみると幸せになる。

そして、さらに美術館にも、高校時代2人で行ったあの美術館、2階?3階?の出島みたいなレストランでランチを食べ、帰りはヒルズでブラブラ、カフェで一休み。

家に連絡して、夕食はそのままヒルズで、今日はちゃんと家に帰って、やっぱり×××。

GWを充分満喫し、GW明け、仕事が始まる。

さあ気を引き締めて、そしてあいつに十分注意を払って。

5月の最終週の土曜日、休みなのに、あいつがまた仕掛けてきた。

「村井さん、明日の土曜なんだけど、僕が金曜まで忙しくて、ちょっと申請業務が滞ってね、業務の他の子達にも頼んだんだけど、出社してくれるかな」

「あの、それは総務の私も出社する事なんですか?」

「ああ、総務課長にも教育担当の子にも話は通してあるから」

「業務の人達も出社するんですか?」

「ああ新人2人は出社するよ」

「はい、わかりました」

「じゃあ、明日よろしく」

「それじゃあ失礼します」

 帰って、かっちゃんにその事を言うと

「純、やっぱりおかしいよ、業務部の人が2人しか出社しないのに、隣の部署の純が出社するって変だと思う」

「うん、なんで私もなんだろ」

「まあ、純を狙ってるのか? う~ん、出社するって言ったんだから、出社するしかないよな~……俺も出るよ、どうせ家に居ても1人じゃあやる事ないし、純1人だと心配だし」

「ほんと、いいの?」

「あたりまえだよ、そんな怪しい話、1人で家で待ってられないよ」

「うん、じゃあ、明日も一緒だね、ありがとう」

「うん」

 次の日、2人で電車に

「土曜の朝って電車ってこんなに空いてるんだね」

「うん、なんか、電車の中も休み、って感じ」

そんな事を話しながら会社に、デスクには須藤が1人、純が入ってくるのを見てニッコリ、その後ろに俺が入ってくるのに気づいて、俺をギッとにらむ。

やっぱり。

すぐにニッコリ仮面に、でも俺はその一瞬の顔を見逃さない。

純が「おはようございます」

「おはよう、今日は彼氏も仕事?」

「はい、そんな感じです」と素知らぬ顔で

「あれ? 他の人達はまだですか?」

「ああ、金曜の夜遅くまで手伝ってもらって目途が付いてきたから、他の子達には今日は休んで良いって言ったんだよ」

「はあ、そうですか、目途がついたんですか、じゃあ私は何をすれば良いですか?」

「ああ、だから今日は申し訳ないけど、帰っても良いよ、あっ、彼は仕事だっけ、

じゃあ、僕が送って行こうか?」

「いえ、それじゃあ、彼の仕事が終わるまで、このまま待ってます」

「そっか、いや~電話番号がわからなくて、連絡しなくて申しわけないね、そうだ電話番号教えてくれるかな」

「いえ、結構です。それに個人の電話なんでちょとそれは・・・」

「そっか、そうだよね、そういうのは親しくなってからだね、うん」

「じゃあ、僕はこれで帰るから、また月曜に」

「はい、おつかれさまでした」

「おつかれ~」と言ってあいつは帰って行った。

「純」

「かっちゃん」

「やばかった」

「うん、かっちゃん一緒に来てくれてありがとう」

「ああ、あいつと純と2人っきりになるところだったんだ」

「うん」そう言って純が思いっきり俺に抱き着いて

「なんとかしなきゃまずいな」

「もうあんな事イヤだよ」

「ああ、俺も絶対イヤだ」

気持ちがもやもやしているのでそのまままっすぐ家に帰った。

2人で2階リビングに。

思った事をそのまま言えるようになって良かった。

そしてあいつの露骨な行動のおかげで純も一層警戒するようになったから、そういう意味では助かった。

それがなかったら、おそらく須藤は純を・・・・

やる事がエグイ。

あの時を思い出す、ただ、須藤のじわじわとしたやり方の方が怖い、そういう意味ではあのマネージャー方が巧妙だったと思うけど、須藤はあいつ以上にえげつない。

須藤!嘘を言って騙そうとするのは許せない。

さあこれからどうやってあいつを・・・・そうだ

「純、武村にあいつの事調べてもらってるんだよね」

「うん」

「聞いてみるか」

「うん」

さっそく、武村に電話して、今、会社にいる事、須藤がやった事を伝えると

「なんだそりゃ、そりゃまずいだろ、そんな言い訳、しらじらしいな」

「ああ、そうなんだ、まさか俺も一緒に来ると思ってなかったんだろうな」

「まあ、そんなとこだろうな、でもよく一緒に行く気になったな」

「ああ、なんか怪しかったからね」

「あいつ、いろいろあるみたいだ。

どうも結構な数の女子社員が辞めてるらしいんだけど、皆須藤と何かあったみたいなんだ。それがわかるまでもう少し時間がかかるから、それまでがんばってくれ」

「うん、わかった、でも純が危険だから、なるべく早く頼むよ」

「ああ、わかった」このやり取りをスピーカーにして、純も一緒に聞いていた。

「かっちゃん・・・」そう言って抱き着いて

「ああ、大丈夫、今度はこの前みたいにはならない絶対」

「うん」

・・・・「大好きだよ、愛してるよ」・・・

「ああ、俺も大好きだよ、愛してる」・・・・・・×××。




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