第134話平穏でない学生生活?-1

平穏でない学生生活?-1

平穏でない学生生活?-1


2日後、大学で講義に出席するため11号館に歩いていると あの立花が、

「やあ、奇遇だね、今日はこれから講義?」

「はい 」

「そっか、がんばってね」そう言って14号館の方に向って歩いて行った。

偶然?昨日会って、今日も会う? 今まであった事もない人が急に連続で会うか?

それも純がうちの大学に来る日に、なんか引っかかる、イヤな予感がする、そう思いつつ、講義が終わって1階に降りて部室に行こうと、ふとロビーを見ると、純と立花がベンチに座って話をしていた。

何で?部室で待てるんじゃないのか?

 純と親しげに話している立花が、妙に距離が近い。

またあの時を思い出す。体温が下がっていく、2人とも俺に気づいていない。ゆっくり歩いて近づいて、「純?」

2人ともビクっとしてこっちを見る。

立花の顔がちょっとこわばったけどすぐにイケメンスマイル、純はいつものニッコリで「かっちゃん」そう言って俺の方に走り寄って腕をとる。

「どうしたの?」

「あ、部室で待っているかと思ってね、そうしたらこんなところにいたから」

「うん、部室に行こうとしたら立花先輩に偶然会って、かっちゃんを待っているって言ったらじゃあここに居ればすぐに会えるから、一緒の待っててあげるって言われて、かちゃんが来るまでお話してたの」

純が言い終わると

「やあ」イケメンスマイルで俺に挨拶をする

「立花先輩はどうしてここにいるんですか?」

「いや~、稲葉に会いに来たところに村井さんがいたから、ちょっとお話していたんだ」

「そうですか、稲葉先輩はおそらくいないと思いますよ」

「そう? まあ、一応部室の中を確認してみるよ、じゃあ」そう言って部室の方に向って行った。

「立花先輩と何を話していたの?」俺がそう聞くと 

「うん、私の大学の事とか、かっちゃんに会いに来るのは何曜日、大学の周りの食事のおいしいお店の話とか、そんな感じ」

「そっか、まあとりあえず部室に行こうか」

「うん」

それから2人で部室に入ると、部屋には柴田先輩と長澤さんがいて立花と話をしていた。

3人は俺達を見ると、2人はいつも通りの挨拶、立花はイケメンスマイルでさわやか仮面をかぶって「やあ、村井さん、さっきはどうも、稲葉がいなくてね、でも柴田さんがいたからちょっと話をしていたんだ。じゃあ僕はこれで 」

そう言って部室を出て行った。

柴田先輩が

「純、あいつの事知ってるのか?」

「いえ、この前、初めて会って挨拶して、さっきかっちゃんの講義が終わるまでロビーで一緒に待ちながら話していたんです」

「そっか」

俺は柴田先輩に

「柴田先輩は立花先輩を知ってるんですか?」

「まあな」

「この前初めて会って、今日偶然あったんですけど・・・」

「そうか・・・」

 長澤さんが

「何かあるんですか? イケメンで優しくてお金持ちで、1年の女子には大人気で他の女子大でも結構有名人らしいですよ」

「まあ、そうだろうな・・・」何かありそうな反応

「柴田先輩は何かあったんですか」と聞いたけど

「まああったというほどではないけどな」濁された

長澤さんが 心配そうな顔をして

「何かあったんですか? 彼、見た感じも良い印象しかないんですけど」

「そうかもな」

やっぱり何か引っかかるけど、長澤さんの話では イケメンで良い印象で有名 という事だ。

でも柴田先輩は何かあるような言い方で、あの2人を見た時のイヤな感じ、なんとかしたい。     もしこの前のような事が・・・と思うと、 

あとで柴田先輩に直接聞いてみようと思い、その場は2人にさよならをして

部室を出ようとしたら、柴田先輩が出口まで来て、

「高谷、あいつには気をつけたほうが良いぞ」

「やっぱり何かあるんですね」

「まあ、犯罪めいた事はないが、念のため純にはこの前から教えている合気道の練習するように言っておくんだ。

 私が練習に付き合っても良いけど、そう毎日は無理だから、高谷が付き合ってやれ」

「はい、ありがとうございます」

「じゃあ、気を付けるんだぞ」そう言って戻って行った。

やっぱり立花はあやしいんだ、気を付けなければ。

帰りにちょっとカフェによって、そこで

「ねえ、柴田先輩が言ってたんだけど、純に合気道の練習を俺としろって 俺で試すって?」

「うん、何かあった時自分を守るためって、合気道をちょっと教えてもらってるの

 本格的なのは無理だけど、最低限自分を守って、そこから逃げることができるようにって、だけど練習だけでまだ実践した事がないから、かっちゃんで試してみろ って」

「えっ・・・まあ実践経験がないっていうのは、何もないってこと 

だから、ある意味安心したけど、俺で試すって?」

「そう、ちゃんと使えるか、かっちゃんで試してみるのが一番って柴田先輩が言ってたのの」

「イヤイヤ、俺どうなるの?」

「うん、うまく行ったら地面にキス、うまくいかなくても私が逃げる時間は稼げるはずって言ってた」 

「それを俺に試すの?」

「うん、かっちゃんがいない時私がそういう目にあったら、どうする?」

「・・・そうだね、わかった付き合うよ」

「うん」

そういう事になった

純のため、そして俺の為にも付き合いましょう。  

今までは、俺が講義に出席している時に、俺を待つ間だけ柴田先輩に教えてもらっていたらしい。

「それじゃあ、今日みたいにロビーで待つより、部室に行って柴田先輩に教えてもらった方が良いんじゃない?」

「そうね、うん、そうする」

これからはそれに加え、夜30分から1時間、あの公園で練習に付きあうことにした。






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