第111話春休みの塾のバイトで ―突然の再会2

春休みの塾のバイトで ―突然の再会2

春休みの塾のバイトで ―突然の再会2


午後3時、無言で採点を続けていると スタッフの人がコーヒーを持って入ってきた。

「ご苦労様、ちょっと休んだら?」そう言ってコーヒーをおいて隣の席に座った。

「高谷君、村井さん、実は4月の新学期から始まる授業用の資料の発送の準備のお手伝いをお願いしたいんだけど。

テキストは直接渡すから、他に親御さん達への連絡用のプリント類を順番通りに封筒に詰めるだけなんだけど、あと3-4日お願いできないかな」

純はスマホを見て自分のスケジュールを調べているようだ、それからいったん会議室から出て行った、彼氏にでも確認しているんだろう。

彼氏がいるんだからそう毎日のバイトは無理だよな、きっと大丈夫だ、一緒にはならない、そう思って

「はい、僕は大丈夫です」

「そうか、じゃあお願いするね」そう言ったときに純が会議室に戻ってきて

「村井さん、高谷君が来てくれるから村井さんはどっちでも良いよ」

「私も大丈夫です、是非やらせてください」

「そう、じゃあ、よろしくね」 

何で?彼氏は?

純、君はもう俺なんか気にしていないだろうけど、俺はまだ全然……昔の俺の知ってる純なら相手の事も考えてくれる思いやりのある人だったのに・・・純にとって俺は単なる高校時代のクラスメイトに戻ったのか?・・・。

 夕方の6時になんとか終わり、帰ろうと、建物の裏の方に回ってヘルメットをかぶっていると、後ろに純が「あれ?高谷君、オートバイ?」そんな事わかってるじゃないか。

「ここってオートバイや車通勤は禁止じゃなかったっけ?」

「ああ」

「どうしよっかな~」 

「・・・」

「内緒にしてあげるから、家までお願い」

そう言って俺がかぶろうとしていたヘルメットを取って自分でかぶってしまった。

俺の返事も待たず・・・。

しょうがないから、俺はダックテイルの方かぶり、バイクにまたがるとしっかり後ろに乗って・・・しっかり俺に手を回して・・・・胸の感触が背中に・・・高校2年、水着を買いに行ったときの帰りを思い出す・・・・泣きそうになる。

最近やっと涙が収まってきたのに・・・・・・

ぴったりくっついて・・・純の家に着くと 

「家に寄ってく?」

「いや、帰る」

そう言って帰った。

家に寄る? って・・・彼氏がいるだろ・・・あの頃を思い出して・・・懐かしくて・・・。

楽しかった頃が・・・この日の夜、久しぶりに泣いてしまった。

俺ってこんなにめめしい・・・

純がいる地獄の4日間、がんばって4日には持ち越さないで1日でも早く終わるように頑張ろう、と・・・


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