第112話こんな事があるのだろうか

こんな事があるのだろうか


次の日、憂鬱な気分で塾に、純は同じようにスタッフの人と雑談をしていたので「おはよう」「おはよう」 

素通りして会議室に入ると、すぐに純が入ってきて

「今日はちゃんと挨拶できたね」

「ああ」

そう言って純をよく見ると・・・そのカチューシャは、俺が高校の時にプレゼントした物と同じ・・・・驚いた顔をしていると

「これ、わかった?」

そう言ってカチューシャを触る。

「ねえ、この指輪も」

えっ? 指輪は俺が高校の時、婚約の約束って言って、ホワイトデーに前倒しでプレゼントしたやつだった・・・どういう事? 彼氏はいないの?

純は、ニッコリ笑って、俺は驚いた顔のまま固まっていると、スタッフが入ってきて、作業を説明し、

「じゃあよろしく」と言って出て行った。

そこに残った2人・・・

お昼になって、昨日と同じように、しっかり手を引っ張られ・・・昨日と同じく1口づつ・・・・純のなすがまま・・・・

頭がついていけず・・・帰りになると、また俺の後ろに立って、俺のヘルメットをかぶり、純の家・・・

「今日はどうする?寄って行く?」

「・・・」

「そう、じゃあまた明日、おやすみ」

「ああ、おやすみ」

帰ってから、ずーっと頭の中は今日の事でいっぱい、武村から、あいつに騙されて・・・・武村が言っていた事を思い出す。

事務所は辞めたと言っていた、あいつとは付き合っていないと言っていた。

だけど…彼氏はいない?なんであの指輪、あのカチューシャ?

そんなっ、俺の事を・・・よろこんで良いのか?・・・くっそ、今夜も眠れないじゃないか。

寝不足のまま、塾に行くと、今度はその後にプレゼントしたもう1つの方のカチューシャ、しっかりあの指輪をはめている。

「おはよう」

「ああ、おはよう」

会議室に入ると

「眠そうね、昨日は眠れた?」

「・・・・・・」

「私は全然眠れなかった・・・」

「・・・・・・」

そのまま作業して、お昼を食べ・・・この日はシェアせず、2人ともほとんど無言。

帰りも無言で俺の後ろに、当たり前のように俺のヘルメットをかぶり、そして純の家に着いた。


こんな事があるのだろうか



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