第90話それは突然にー 破局
それは突然にー 破局
それは突然にー 破局
純と1週間も会わないのは初めて、
それでも、純は毎日連絡してくるので、さすがに会わないわけにはいかないと思い、
ちょっと時間ができたから会おうと連絡して「その日、私は打ち合わせだから、それが終わったら」という事で、また事務所へ・・・・・・やっぱり。彼と純の2人、とってもお似合いな2人。
部屋の隅にパイプ椅子があったので、そこに座って2人を見ている、気が付くと10分以上、純はまったく気が付かない。
彼の方が純の肩をポンポン、純が何?という顔で俺の方を見てやっと気づく・・・・・・そうなんだ 俺の存在はもう・・・・・・。
純は彼に挨拶をして、彼も俺に頭をさげ、純がゆっくり歩てくる。
そういえば、ちょっと前までなら俺に気が付くといつもすごい勢いで走ってきたっけな~。
「かっちゃん、久しぶり、来てたら声かけてくれればいいのに」
「うん、久しぶり、いや~、なんか楽しそうだったから」
「そう?待った?」
「ううん」
「そう、じゃあ行こうか」
「ああ」
そう言って純の後をついて行く、純に連れられて入ったカフェレストラン。
「このお店、この前、のぼるさんと一緒に行って、すっごくよかったから、かっちゃんと来たかったの」
そうか、このお店も、彼と2人でいつもこういう店に来てるんだ~。
純の話はのぼるさんの事ばかり、俺は婚約者なのに平気で他の男の話を・・・・・・。
「のぼるさんって?」
「うん、のぼるさんと一緒だととっても楽しいの・・・・・・この前はとってもおしゃれなお店に%&‘#$%、家まで送ってくれて%$%&’‘&」
俺がいない間もずーっと一緒かー。
家まで送ってくれてって、もうそれ仕事を超えてるよ。
純は自分が何言ってるかわかってるの?
俺がいなくてものぼるがいれば、って俺に向って言ってるんだよ‥‥‥。
「大丈夫?なんか調子わるそう」
「ああ、ちょっと忙しくてね」
いろいろ話しているようだけど全部、のぼる・・・・・・そんな内容、ほとんど頭に入ってこなかった。入るわけない。
そのまま時間が過ぎて、2人で純の家まで、そして忙しいからと言って、その場で別れる。
以前ならしつこいくらいに部屋に来てって、それがあっさりと。
純は自分の気持ちに気づいているんだろうか、それとも・・・・・・もうとっくに、あの2人は・・・・・・。
皮肉の1つも言いたかったけど、スルーされるんだろう、そう思って
「ゼミの発表があって、先輩の手伝いもしなきゃいけないから、先輩の家に泊まり込みもあるから、しばらく会えない」と言って、
純はすんなりと「うん、わかった、体には気を付けてね」であっけなく終わった。
自分の中で、終わりが見えた。
あの2人が楽しそうにカフェで、レストランで車で・・・・・・。
大学に入ってから半年待ってすぐに勢いで婚約して・・・・・・。
でも純の世界が広がって色々な人と接するようになって・・・・・・やっぱり親はそういうところも見てるんだな~。
ハハハあっけないな~。
純がこの仕事を始める時、違う世界に行ったような気がしたけど、やっぱりそうだったんだ。
そう思うと、これも必然か、俺のキズが深くならないうちに、話がこじれないうちに、婚約の解消の挨拶に行かなきゃ。
それに、きっと、純の方から解消の話はしづらいだろう・・・・・・。
思ったより自分が冷静で良かった。
そりゃあ夜思い出すと涙が止まらないけど、次の日、大学にはちゃんと行けている。
今まで純と過ごした時間がぽっかり空いたから、バイトでも始めようと色々探して、運よく中学受験の塾の国語の講師のバイトがあったので、そこに行くことにした。
時給は高いけど、よっぽどの事情がない限り、決まった時間に必ず行かなければならない。
純の付き添いがないし、そういう意味で束縛される方が、気がまぎれるし、小学生の子供相手の方が忘れられるから。
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