第27話夏休み -告白1/3

夏休み -告白1/3


「ねえ、まだちょっと時間ある?」


「ああ、もう家に帰るだけだからあるよ」


「ちょっとうちに来ない?」


「えっ、村井さんの家?」


「そう」


「なんで」


「いいじゃない」


「・・・・・・」


「はい、じゃあ、バイクをこっちに止めて」


相変わらずぐいぐい。 


言われた通りにバイクを止めて、村井さんの後について行く。


村井さんは家の鍵を開け、大きな声で「ただいま~」


「おかえりー」と2階から声がした、おそらく武村が大好きな妹なんだろう。


「このまま私の部屋に行こっか」そう言って、村井さんの後について階段を上がって村井さんの部屋に入った。


「座るとこないからベッドに座ってね」村井さんが寝ているベッド・・・ドキドキ・・・


「うん」


「何か飲み物もってくるから、ちょっと待ってて」

そう言って村井さんが部屋を出て行った。


部屋には俺1人・・・このまま村井さんのベッドにダイブ・・・なんてことしないで、部屋を見渡すと、机には彼氏と2人の写真・・・彼は野球部のユニフォーム姿。

部屋はかわいい女の子の部屋というより、シンプルな女性の部屋って感じ、村井さんらしい部屋ですね。


村井さんが、ベッドの前にある小さなテーブルに麦茶をのせ俺の隣に座る・・・ドキドキ


ふっと村井さんが俺の目線に気づいて


「あ~、この写真ね~、彼と試合の後に撮ったやつ」


「へ~ お似合いですね~」それなりに褒める、確かに彼氏は大きくて村井さんとの並んでいるとお似合い。でも俺の基準では彼はイケメンではないと思うんだけど・・・嫉妬?


でもそういう事は言えず、ありきたりにそう褒めると、村井さんは気のせいか、いつのよりちょっとおとなしい、暗い?いつものようにからかってこない、村井さんがぽつりぽつり話始めた


「実はね~、1ヶ月くらい前に、他に気になる人がいるから会うのを控えたいって言ったら、怒って強引に野球部の用具置き場倉庫に連れられて、無理やりにされちゃったの・・・・・・彼とは始めてじゃなかったけど‥‥‥その時、私、彼の事、本当は好きじゃないってわかった‥‥‥それから、どんどんその人の事が気になってきて・・・私、本当に好きになる、って経験ないんだよね、だから、彼となんとなく付き合ったけど・・・、その人の事がどんどん気になって・・・」


急にそんな重大な話をしてきた。


「じゃあどうして彼と付き合うようになったの?」


「私ね、中学の時からいろんな人に告白されてね、で断ってばっかりで申し訳なくて、その度にいっちゃんに相談してたんだよね」


「いっちゃんは、純がいいなって思う人が見つかるまで断ればいいんじゃない、って言ってくれて、だからずーっと断ってたの、そのまま高校に行って、1ヶ月もしないうちに彼が声をかけてきたの、でもそれは告白じゃなくて、野球部のマネージャーの勧誘でね、だからそういう人って初めてで、野球部のマネージャーをするようになってから、彼と一緒に用具を買いに行ったり、事前に相手校との打ち合わせに行ったりして、だんだん仲良くなって、彼から告白されたの、すごく良い人だったから、いっちゃんの言うように、付き合ってみようかなって、で付き合って・・・でも・・・違った」


「何が?」


「彼は、夏休み明けに主将になって、私は主将の彼女って感じで、いつも野球ばっかりで、

本当は私の事ぜんぜん考えてくれてなくて、野球と自分が優先、それ以外の時・・・彼はね、私を付属品とか所有物みたいに思ってる・・・・・エッチもそう、彼の言われるまま、彼の気分」


「それにね、最初から自分の彼女にするためマネージャーに誘ったみたいなの。

野球なんてまったく知らなかった私に。


どうして私の名前を知ってるのか、すごい不自然だった」


「その気になる人が現れたんだね」


「そう、彼にはそういう風には感じなかった。


 何かこう、なんとも言えないんだけど、違う感情がね・・・ 」


誰なんだろう、武村は妹だから違うとしても あのトップカーストの中に?・・


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