7黄金のネックレス
夕食の準備が整った頃、玄関のカウベルが鳴った。思わず、リアムの方を見て不安になった。
「あれ?こんな時間に誰かな?私、戸締まりはしたはずなんだけど・・」
リアムは何事もないように、戸棚に行き、もうひとり分の食事を用意するべく、料理をつぎ分けていた。
「ただいま・・」
歳に似合わない大柄で迫力のある身体をゆすりながら、おばちゃんが台所に入ってきた。さすがリアム・・おばあちゃんが帰ってく気配が分かったみたいだ。さしずめ、スーパー主婦さながらの手際良さだ。
「ばあちゃん、おかえり・・」
「おばあちゃん、おかえりなさい」
「あ~。リアムの作った夕食のいい香りが玄関からずっとしていたよ。家に帰ってきた・・という実感がするよ。早く、リアムの料理を食べて元気になりたいものだよ」
そういいながら私の向かいの席についた。
「お疲れ様・・どうぞ、召し上がれ」
リアムがそう言って、夕食の皿をおばあちゃんの前に並べた。
「本当に美味しそうだ。リアムの料理を食べれば、疲れも吹っ飛ぶね。ははは・・」
豪快に笑ったおばあちゃんは、歳に似合わない豪快な食べっぷりで食事を口に次々と運んでいった。
私のお腹も満腹になり、幸せいっぱいになった頃、リアムが3000ルピーと貢物の黄金のネックレスの入った包をおばあちゃんの前に置いた。
「こいつの稼ぎだよ。1日目の占いで3000ルピーを稼いだが、2日目は占いが大人気になって大行列になり、占いを中止したら、なんか貴族がプリンセスかぐやに会わせろというんで、こいつを渡してきたらしい。あ・・リサは占い師の名前はプリンセスかぐやらしい・・」
「そうかい」
リアムの話を聞いていたおばあちゃんはネックレスの入った包を開け、ちょっと怖いような目つきでしげしげと見ていた。
「これはなかなかのものだね」
「これはとても高価そうなので、しばらく働かなくてもいいくらいの価値がありそうかな・・と思って・・。それで、行列はご近所迷惑になるし、私もそんなにたくさん占いはできないから、休業してました」
言い訳がましく私は付け加えるように言った。
おばあちゃんは、その黄金のネックレスをじっと見ていたが、確信したように言った。
「これはものすごく価値のあるものだね」
「でしょう?多分私の稼ぎの1年分とか・・これで、私、ここで、3食付きで置いてもらえますよね」
「ははは。まあ、合格だ。しかし、このネックレスは私が受け取るわけにはいかない」
「え?」
「それは、お前が大切に持っておくんだ。いいね。肌身離さず持っておくんだよ」
「そんな高価なもの・・私が頂いていいのでしょうか・・あの・・私その貢物以外の稼ぎはないのですが・・」
「アハハ・・リサには、これからビシバシ働いてもらうさ・・」
そう言って笑っているおばあちゃんはかなりの迫力で・・私はちょっとビビってしまった。
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