　騎士のひとりが前に出た。鉄靴（サバトン）の音が、叫声（パニック）をモーゼ効果（エフェクト）めいて割る。

「経緯はともかく、今は皆を守る。それが務めであろう！」

　フォルテ・モートルサーガ。

　若手ながら、騎士団の撃剣組手会（グランドスラム）で優勝した実力者だ。言葉には狂乱（インサニティ）を鎮静化（サニティ）する説得力があった。

　我を取り戻した騎士団長が、すかさず指揮を執（キメ）る。騎士たちは即座に陣形構築（フォーメーション）――密集会戦陣形（ファランクス）！

　サメ（シャークリスティナ）対（ｖｓ.）騎士団。戦い（ハント）が始まる。

　シャークリスティナ側とて、騎士団の立て直しを待ったのではあるまい。サメは忖度（そんたく）しない。純粋に、騎士団が機敏であっただけのコト。

　対峙。

　そしてサメが先攻をとった（レディファースト）。突進（ブッ込み）――否、跳躍（トッ込み）！　ライオン（レオンハルト）の特質（タレント）を活かした、正面からの強襲！

　Whaaam!!

　地滑りめいた轟音。サメの体当たり（シャークストライク）は、読者諸君（われわれ）の世界において飛行事故の原因、そのじつに十割を占（し）める暴威（タイラント）だ。

　しかし騎士団は耐えた。陣形（ファランクス）の防御３倍（バフ）は健在、５メートルほど吹き飛ばされつつも欠員ゼロ！

「好機（チャンス）だ、反撃せよ！」

　騎士団長が号令した。

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