第110話披露宴

そして今日はリーシャとの結婚式当日である。


朝から俺の側仕え達は珍しくも忙しなくバタバタと最後の準備に追われていた。


「これなんてどうですか?クロード殿下っぽくてお似合いですよー」

「こちらはどうですかーっ!?クロード殿下の光り輝く金髪に負けず劣らず煌びやかでお似合いかとっ!」

「いえいえいえっ!そんなギラギラした衣装など言語道断っ!!やはりここはクロード殿下を目立たすためにも質素な感じでっ!!」

「「「ささクロード殿下っ!お選びくださいませっ!!」」」


何でだろうか?以前から結婚式、主に披露宴の段取り等は終始この様に担当部署ごとにあーでもないこーでもないと言い合っては最終的に俺へと意見を聞きに来るのだがいい加減うっとおしいから止めて欲しい。


以前余りにもうっとおしい為「結婚は女性の晴れ舞台であるからしてリーシャに聞けば良かろう」と申したことがあるのだが「そのリーシャ様がクロード殿下の手掛けた結婚式で式を上げたいと仰っているのでございます」と言われては嫌だとは言えないではないか。


むしろリーシャの為に頑張ろうと思えるのだから、魔法の言葉であると言えよう。


それ以降我はリーシャの好みはこれで合っているのであろうか?と、リーシャの事を思いながら手掛けて来たのであるがしんどい事には変わりない。


因みに、こうなってしまった全ての原因は自分にあり、思わず前世の価値観から「挙式の後の披露宴はどのようにするのだ」という失言のせいである。


その結果急遽披露宴の用意までする羽目となり、それが今自分に跳ね返って来ている形である。


流れから何から全て前世の知識をフル動員して何とか形にはできたものの格式ばった式の後の比較的フリーダムな内容とあって、担当部署ごとの者達が鼻息荒く我に問うて来てしまう羽目になったという訳である。


そしてこの様な事が好きそうな女性であるリーシャが全て我任せという結果がこの惨状である。


我の失言のせいで式が一つ、急遽増えた様なものであるのだが、皆愚痴を言うどころか楽しんでやっている様なのでもうどうにでもなれ精神である。


楽しめているのであればそれに越したことはないからな。


「もう、どっちでもよいではないか?」

「「「よくありませんっ!!」」」

「そう申されてもな………お色直しの時間で衣装も変えるのはダメなのか?」

「「「そ、それでございますっ!!」」」

「流石稀代の天才クロード殿下でございますっ!!こうしては居れませんっ!!」

「リーシャ様班にもこの事を速やかにお伝えしなければっ!!」

「時間がございませんっ!!急ぎでお願いいたしますっ!!」



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