第17話 瞬殺
いよいよ試合が始まる。
そして張り出されたトーナメント表には――
「リート・ウェルズリーvsカイト・ウェルズリー……」
第一試合。そこでいきなりリートとカイトが戦うことになった。
「なんだ、めちゃくちゃラッキーだな」
と、トーナメント表を見ていたリートに話しかけてきた男。
――それは他でもない、カイト・ウェルズリーだった。
「カイト……」
リートがカイトを見ると、その顔には下品な笑みがこびりついていた。
「こりゃシードみたいなもんだ。“ニートのリートさん”相手なら、一捻りだからな」
そう言い放ち、高笑いしてカイトは闘技場へ向かっていく。
その背中をリートは見据える――胸の内に、闘志を燃やしながら。
†
【――それでは、第一試合を始めます!】
そのアナウンスが流れると、決闘場でひときわ大きな歓声が上がった。
【――選手の紹介です。東側、カイト・ウェルズリー。クラスは“聖騎士”です!】
聖騎士、の言葉に観客は一気に盛り上がる。
「聖騎士の新人騎士って何年振りだよ!?」
「カイトって、あの東方騎士団長だったウェルズリー公爵の息子らしいぜ」
「まじかよ。ぜってぇ優勝じゃん!」
観客席たちからはそんな言葉が聞こえてくる。
【――続いて、西側、リート! クラスは――ありません!】
リートの紹介に、今度は観客たちがざわつく。
「クラスなし……? そんなのあるのかよ?」
「クラスがないって農民がクワ持って戦った方がマシってことだろ?」
「てか、【聖騎士】と【クラス無し】が戦うのか? 話にならねぇだろ」
それまで熱気に包まれていた会場だったが、リートの名前とクラスがコールされた時点で、観客たちのテンションが一気に下がった。
皆が勝負にならないと思ったのだ。
――だが、リートの耳には観客たちの言葉など全く入ってこない。
目の前の戦いに集中していた。
【――では、第一試合を開始します――】
リートとカイトはにらみ合い、審判の言葉を待つ。
リートの意識は、一気に手元の剣に集中する。
【始め!!】
審判が試合開始を告げた次の瞬間。
「“神聖剣ッ!”」
まずはカイトは聖騎士のスキルを発動した。
剣の刃が神々しい光に包まれる。
――対して、リートも。
「“神聖剣”ッ!」
同じく聖騎士のスキルを発動する。
観客たち全員が驚愕する。
――そして二人は地面を蹴り、互いに向かってまっすぐ突撃する。
全力の突撃。
二人の神聖剣が交錯し――
次の瞬間――――――――
――――
――
勝敗は一瞬で決した。
――――――――
「――っ!!」
叩き切られた剣。
そして。
喉元に突きつけた剣。
――リートの刃がカイトの喉元に突きつけられていた。
†
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます