散想

フラワー


 蝶の羽に透き通る風が罹る。秋は空の上から降りてきて、昼の蝶へと重なった。混ざる瞬間の冷たい風が、泥の上に死骸となって羽を落とすことになる虫の始まり。秋は暖かな陽が葉を散らし、土深くへと生き物を埋めていくとき。石は白く骨のように固まり、川は濁った色を鮮やかに響かせて、空から降りた秋の隙間を増している。呼吸のしやすい秋の日々、雪が降るまでの静かな世界は、鼻へと伝わる余白の心地良い肌触り。夏は消える。冬が含む枯れ葉の音まで、あと少しの寂しさ。

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