四 前編

C㊛「お前が殺したんじゃないのかよ」

荒々しくC㊛が言う


B㊛「どうしてそう思うの?」

 震える声でB㊛はそう言った


C㊛「お前がAくんのこと

好きだったからだよ


だからAくんと付き合ってた

Aちゃんを殺したんだろ」


C㊛は『人殺し』

そう軽蔑した目でB㊛を見る


B㊛「みんなも私が殺したってそう思ってるの?」


そう言いながらB㊛は恐る恐るA㊚をみた

A㊚は目を逸らして何も答えない


B㊚「A㊚の事確かに好きだったけど

でもだからといって

殺すまではいかないんじゃないか

恨んでるように見えなかったし」


B㊚はB㊛が殺したと疑っていないらしい


D㊛「そうかな?

AくんとA㊛が付き合ってるって知ってても

ずっとAくんの事見てたし


それにAくんの事で

A㊛とケンカしてる時もあったし

つい殺しちゃったのかも」


D㊚「えっそうなんだ…へー」


動機があるんだ、という目でB㊛を見るD㊚


B㊛「A㊚も私が殺したって思ってるの?

何で黙ってるの?


そっか私が殺したって思ってるから黙ってるんだ」 


B㊛は他の人にどう思われようがどうでもいいらしい

A㊚の事が気になるようだ


A㊚に疑われてると気づいて

足の力が抜けたのか

B㊛は倒れ込むように椅子に座った


C㊛「話ししてんのに椅子に座るなよ」


C㊛はそう言うが

B㊛は無視して話を始めた


B㊛「私は確かにA㊚が好きだよ 

幼小中高大ずっと一緒で

私は幼馴染って思ってるけど

A㊚は腐れ縁だって思ってるよね


好きだって気づいたのは中学の時

ずっと一緒にいたから

家族見たいな存在だったけど


私が悩んでる時に

何悩んでるか知らないくせに

ずっと何も聞かずそばにいてくれた

背中を押してくれた

手を差し伸べてくれた


……何も知らないのにさ


でもその優しさが嬉しくて愛おしくて

好きだって思った


一緒になりたい

私もずっとそばにいたいって思った


だけどだからといって

Aさんのこと殺してないよ


私はわかってた

A㊚の瞳に私が映ることはないって


だってA㊚の事ずっと見てきたから

どんな女性ひとが好きかも

全部知ってるから


私のこと眼中にないことちゃんと分かってた


だから私は

A㊚を幸せにしてくれる

笑顔にしてくれる

そんな人と出会えることを願った


私はA㊚の隣に立つことは

もうとっくに諦めてたから


私が告白しても振られるだけで

もし付き合えても

私じゃA㊚を幸せにできない


だからA㊚を幸せにしてくれる人を探してた


好きな人には幸せになってほしいでしょ?


A㊚とAさんが一緒にいた時に


あー好きなんだ

本当に大好きなんだ


よかった

心から好きになれる人に出会えて

よかった

自分を出せる人に出会えて

よかった

幸せそうで


本当によかった


A㊚のこんな顔を見ることができて

それだけでも私は

本当に幸せだってそう思った


だから私は殺してないよ


A㊚は本当に心の底から

幸せそうに笑ってて

私は本当に嬉しくて幸せだったから」


B㊛は話しながら思い出しているのか

幸せそうな笑顔を浮かべていた


D㊛「じゃっじゃあ何でケンカとかしてたの

そんなによかったって思うなら

ケンカとかしないじゃん」


D㊛は声を荒げる


B㊛「AさんがA㊚に

駄目なことは駄目って言わないから」


B㊛は真顔に戻り

落ち着いた声で話す


B㊛「A㊚が全然学校来てなくて

単位全然とれてないから

留年するかもしれないのに

というかほぼ留年確定になりそうなぐらい危なくて


それをAさんに言っても


『青春は今だけだし

大学卒業したら社会人で

今みたいに暮らせないし

会いにくくなるし

今のうちに楽しまないとでしょ

それを邪魔しないでほしい』


ってそれはもちろん


楽しみたい気持ちも

今しかない時間を大事にしたい気持ちもわかるけど


留年したら進路に響くし絶対後悔するから

彼女であるAさんが伝えてほしい

私がA㊚に言うより

彼女のAさんが言った方がいいからって


そう伝えても取り合ってくれなくて

それで言い合いしてただけだよ

だから喧嘩っていうほどの

喧嘩ではないけど」


結局A㊚は留年して大変な事になってるし

とボソッと呟いた


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