不登校について

 昨今では、生徒の問題行動というと不登校やいじめが筆頭に挙げられる。どちらも深刻な問題であり、教育として対処していくべき問題である。このレポートでは不登校の問題を取り扱っていきたい。

 不登校に対応する場合に注意すべきことは、表層的なレベルでの解決に留まらないようにすることである。

 不登校は、いじめよりは社会的に目立たない。メディアにセンセーショナルに取り上げられるのは不登校よりもいじめのほうが多いからである。だが、だからといって不登校の問題は比較的軽いと考えるのは誤りである。

 まず、不登校とは何か。年間30日以上学校を休むと、不登校として数えられる。年間30日程度というのは週に一度休むくらいの頻度である。授業で取り扱っていた小中不登校生徒の年間欠席日数の統計によると、年間30日から89日の層、年間90日から149日の層、年間150日以上の層と分けられる。意外なことに、中学生に注目すると、この中で一番少ない層は年間90日から149日の層である。つまり、特に中学生の場合、不登校の兆候があったときに対処しきれないと不登校の長期化につながっていくと読み取れる。

 生徒たちの不登校の理由は様々であるが、中学生に注目すると、トップにくる友達関係や学業の他にも「特にない」「その他」という回答も目立つ。最近の子どもの問題というのは「ストレス型」と呼ばれる。確かに、学校という場には様々なストレッサーがあり、成長過程である子どもはストレスを感じやすいであろう。しかし、ストレスというものは本来は成長に必要なものでもある。将来の社会人を養成する役割を担う学校において、そのストレスとうまく付き合えていないという点で不登校は深刻な状態である。

 このような不登校の問題に対して、文部科学省は柔軟に対応すべきとの方針を打ち出している。私もこの方針に同意する。不登校の問題は、学校に行っていないという表面的な意味に留まらない。子どもの社会性や適応性に何らかの問題が生じていることの表面的な表れであると考えるべきだ。不登校という現象は一様でも、その背景は多様である。その背景には友達関係や学業の問題の他にも、家庭事情や、教師が問題だったという場合もある。

 子どもに無理やり学校に来させたり等すると、それらの本質的な問題が覆い隠されてしまい、その生徒の人生にとって更なる悪影響になる可能性もある。確かに毎日休まず学校に来ることも大事なことかもしれないが、不登校問題の場合には個別の事情を考慮し、どうして不登校に至ったのかというプロセスを把握することがまず肝要であると考える。

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