僕と君。私と君。
大地の恵み-(氷堂杏)-
プロローグ
「15歳になった日」
3年間通ってきた中学校生活に終わりを告げる今日この頃。
廊下に出れば、左胸にコサージュを身につけた生徒たちが、写真を撮りながらこれからの話に花を咲かせている。
そう、今日は卒業の日
涙を流しながら友との別れを悲しむ者もいれば、好きな人に第二ボタンを貰おうと人探しをしている女子もいる。
そんな生徒たちを横目に見ながら、「
目的のクラスへ入室すると、教室の窓際には今にも泣き出しそうな男子生徒がいるではないか。そいつはこちらに気づくや否や猛スピードで飛びついて来て
「継斗おぉぉ!俺やっと開放されるよぉぉぉ!!!」
卒業するのが悲しいと言うのかと思えば、やっとこの日が来たかと喜びに満ち溢れた声で言う。
「お、おう...よかったな。」
今俺に抱きついているのは「
俺の唯一と言ってもいい親友だ。
黒髪ツーブロックに、キリッとした目と茶色い瞳。身長は173cm(自称)、純日本人といった見た目で顔も悪くはないのだが、こいつも友達がいない。俺を除いて
「おい、いまなんか失礼なこと思ったろ!」
「なぜバレた...」
「伊達にお前の”唯一の”友達やってないからなぁ」
ムフンッと威勢よく息を吐くと、俺にひっついていた腕を回収する。
「そうだ、誕生日おめっとさん!継斗。」
「明日だけどありがとよ、卒業式とかぶると2倍嬉しかったのにな。」
明日は俺の誕生日。今年で15歳になる早生まれっ子だ。春海という苗字で誕生日を覚えてくれ易そうな感じはするが、そもそも友達が居ないのだから祝ってもらえる人数は限られている。
「卒業式終わったことだしさ、さっさと帰って俺ん家でゲームでもしようぜ!」
「いやいや、4日後に受験控えてんだぞ、ちょっとでも頭に詰め込まないと不安で夜も眠れねーよ。」
「それを言うんじゃねぇ!考えないようにしてたのに!!」
継斗と智久は志望校として自宅から最寄りの公立高校を受験する。
公立校を志望する中学生には卒業の余韻を感じている余裕はないのである。
2人は帰路につき、それぞれの夜を過ごした
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23:50
「ん〜、今日は疲れた。早く寝よう。」
夕飯、風呂、勉強を済ませてベッドに入った継斗。
今日は行事ごともあり、いつも以上に疲れが溜まっていたため、眠りに就くのに時間はかからなかった。
_________
0:00
壁にかけているアナログ時計の針が重なった時、継斗はどこか懐かしい夢を見ていた。
?「...ナタ...アナタ」
?「愛してるわ...来世も、その来世も、あなたと一緒がいい。」
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_
「あ....」
外は朝。
気づけば、涙が頬を伝っていた。
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