第1話 友達はいらない。

 鹿児島県鹿児島市立能力育成保護学園


  この高校は小さい頃に悪魔に襲われたが生き残った子、襲われずに済んだ能力者の子が集まる場所だ。幼稚、小学、中学、高校までは希望する能力者はここに通うことができ、住むこともできる。食費も寮費も全てただ。だがこの学校は高校になってから決断しなくてはいけないことがある。 

  

  悪魔と戦うか、戦わないか。


 それを決めなくてはならない。一度襲われた子からしたら恐怖とまた戦うことになる。この勇気を持つ能力者は少ない。


 高校1年に入学してから、「月城 幸人」は、この選択はもう決めていた。悪魔と戦うことを。

 入学してからは悪魔との戦いを選んだ子、選ばなかった子とは違う場所に学校がある。

 選んだ子は高校なってから勉強はしなくてもいいらしい。決してそんだけのことで選ぶ奴はいない。いるわけない。いたら殴ってやる。 

 俺は同級生に顔を見せる見る事は、初めてだった。中学までは別教室で誰にもバレずに通っていた。

 だからみんなと会うのは初めてだった。

  

 男だらけの教室だと思ったら、女の子3人、男の子俺あわせて2人だった。

 

 まぁ関係ないか



 またいつか1人になる。



 俺はいつも1人だ。



 結局半年もたたずに教室にはほとんど顔をださなくなり、授業というなの体術練習、能力の育成にも参加せず、1人で密かに特訓をしていた。

怖いからだ。

みんなが。

友達が。

家族が。

メディアが。


 「おはよう幸人君 教室いこ?」



  「 ......」



 「よし!!いつも通りだね!!!」


 

 「何してんの?早くいこーよ冥」

 


 「わかってるってー!じゃあ、ばいび〜の〜〜」 

    


 「いつも無視されてんのによく話しかけるね?私には理解できない。あんな陰キャのどこがいいの?」


 「いや好きじゃないよ。どんな人か気になるだけ。私はいつも先輩一筋だからね!!!!」


 「がんばれー」


 「ちゃんと心こめて!!!」


 彼女は「安藤 冥」これからを引っ張る逸材と言われて日々みんなから期待されている2人のうちの1人。

 毎日彼女は俺に話しかける。

 いつもそれを俺が無視する。

   

 それがいつかなくなる。そう思っていた俺がバカだった。

 放課後俺は校舎の近くにいた。少し動きたくなったからだ。放課後には誰もいないからグラウンドは使い放題だった。だから着替えてグラウンドに向かおうとした瞬間、安藤冥に話しかけられた

 

 「ねぇ、幸人君。今から勝負しようよ」

 何言ってんのこいつ

 「簡単に言ったら喧嘩。負けたら私は幸人君に金輪際話しかけない。でも勝ったら教室に来て、あと私と会話して。」

 そんだけ?

 なんかパシリやリンチにされるかと思ってたけど命令が意外と弱くてびっくりした。

 

 「勝負は気絶、ギブアップしたほうが負けね」 

 

 「どうする?する?」

 

 そんなの勝てるに決まってる勝負は、


 「するよ」

 

 「じゃあグラウンドいこ」 

 

  彼女はいつも笑顔だった。訓練がキツくても。勝負しようと話しかけた時も。戦っている途中でも。だが、勝負が終わった直後の彼女の顔は悪魔を見たとき以上に怯えていた。



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