ブラック企業経営者のチート無双異世界経営術
太郎冠者
ブラック企業経営者、異世界に立つ!
ブラック企業とは!
新興産業において若者を大量に採用し、過重労働・違法労働・パワハラによって使いつぶし、次々と離職に追い込む成長大企業を指す。「従業員の人権を踏みにじるような全ての行為を認識しつつも適切な対応をせずに放置している企業」との指摘もある。
ウィキペディアより。
との事である!
働く者達に取っては地獄の様な環境だろうが、経営者にとってはどうだろうか?
勿論、好きでブラック企業となったのではなく、苦しい経営状況から次第にそうなった会社も多いだろう。
苦しい経営状況から自らの役員報酬を削り、従業員の給料を確保し、それでも足りない分を泣く泣く従業員にしわ寄せをする様な甘ったれた経営者もいるだろう。
何のかんの言っても結局は利益なのだ。
会社が潤えば社員に還元される。
それはつまり、給料や休み等の有形無形の還元だ。
還元されれば人は心に余裕を持つ。
働く環境が厳しくなるのは、利益が末端まで還元されていないだけの話だ。
殆どのブラック企業の原因はこれだと言える!
だが、私は違う!!
私はそんな軟弱なブラック企業経営者ではない!
私は小さい時から虐げられてきた。
大人になってから人を使う事を覚え、1代で会社を経営し、順調に利益を確保していた!
当然、ブラック企業だ!!
橘 豪志(39)
ニュースやネットで知っている人間も多いかと思う。
今や知らない者はいない大企業の創業者だ。
生来のくせっ毛や大きな目から、ネット界隈では
あの天パの会社とかギョロ目社長なんて揶揄されたりもした。
たった1人で始めた会社は今や数万人規模の大会社となり、従業員を使い潰し、消費者を騙し、不当な利益を享受していた。
しかし、順風満帆なブラック企業経営者ライフは突然の終わりを告げた。
タレコミが入ったのだ。
元従業員からのタレコミを聞き入れ、労基が入りあまりの実態にテレビや新聞が騒ぎ立てた。
ネットでは誹謗中傷の嵐。
私のSNSには罵詈雑言が書き込まれた。
やはり法律は怖い。法を侵してはいけない。
何故なら国には流石に逆らえないからだ。
税金を誤魔化していた事も暴かれ、私は冷たい獄中にて1人後悔をしていた。
何をかって?
何故もっと上手くやれなかったかだ!
当然反省なんかしない!
次は!次こそはもっと上手くやってやる!!
『その願い。叶えましょう。』
気付けば私は白い空間にいた。
周りには何も見えない。
自分の身体すら見えない。
何だ!?ここはどこだ!
私は今まで留置所にいたはずだ!
『強き意志を持つ魂よ。汝にはある異世界に転移して頂きたいのです。』
どこからともなく声が聞こえる。
誰だお前!?
『世界の意志の具現。有り体に言えば、神、とでも言う存在です。』
ほお?神ねぇ。
人を騙し、使い潰した俺を地獄にでも落とすつもりか?
『善も悪も人が創った概念です。我々には関係ありません。騙す事も、利用する事も、生物として見た場合、それは強さと同義と言えるでしょう。』
なるほど、素晴らしい!
神とは何と話のわかるやつなのだ!
そうだな!その観点から言うならば私は関連従業員数2万人から搾取し、顧客数、数億人から金を騙し取った、近年稀に見る強者と言えるだろう!
『その世界は貴方の世界と違う法則で成り立った世界なのですが、文明の発達が遅れており、未だに成熟期になりません。そこで、貴方のような強い魂を持つ人間を送り込み、世界を刺激させたいのです。』
ほおぅ?所謂、神様転生とか言う奴か!
知っているぞ!我社はエンタメ業界にも進出していたからな!
その場合、貰えるチートや報酬は何だ?
『チート……ですか?』
そうだ!転生やら転移やらする際に、神が渡す力の事だ!
そもそも!貴様は俺に仕事を依頼したいのだろう?
当然、そこには報酬が、利益が発生する!
原始時代から続く理屈だ!契約だ!
そこを違える事は誰にも出来ん!
『神を相手に、ただの人間の貴方が交渉をする、のですか?』
そうだ!!
商談の場において、役職も立場も究極的には関係ない!
新卒の平社員も大企業の社長も、対等に話す権利がある。
俺に見合う報酬が用意出来ないのならば、この話はなしだ!
『面白い。そんな貴方ならば、世界にとって良い刺激となるでしょう。良いでしょう。望む力を授けましょう。』
こうして、神相手の商談チキンレースをクリアし、チートと共に、世界を渡った。
そう。こうして私は剣と魔法の世界。
マギウスガルド大陸に立ったのである。
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