リアル人狼

ぴちょう

第1話

 今4人の聖女が5万人の前に立ち、5万個の笑顔を生み出そうとしている。

舞台裏は重い暗闇の中、ミスがないか神経質になりながら最終確認を行っている。俺はやっとのことで落ち着いたところ。

スタッフの焦りが自分を緊張させてくる。正直やめてほしい。

始まってしまえば少し楽になるが。


監督が最後に何の足しにもならない言葉をかけ、恒例の音楽がかかる。

メンバは緊張を…全くしてないようだ。

相変わらずだが、全員が暴れてやろうというような野心に溢れた表情をしている。

俺はこの空間が世の中で一番好きだ。

この間のために仕事をしていると言っても過言ではない。

そんなことを考えていたら、リーダーから監督と俺が円陣に呼ばれた。

毎回思うがとても嬉しい。

俺は舞台にはでないが彼女らと一つになれた気がした。

練習もこんなにまとまっていればいいのに。


そしてスタッフ達の張り詰めた空気と自信に溢れた空気に挟まれる不思議な雰囲気の中、鋭く眩しい光が射し込み、アイドルグループbri-hiの初のドーム公演が幕を開けた。

 

 説明が遅れたが、俺はこのアイドルグループbri-hiのマネージャの上代佳哉(かみしろかや)だ。

マネージャといっても大したことではない。

スケジュール管理を任されているが、監督の雑務みたいな有り触れた仕事ばかりだ。

本音を少しだけ吐露すると監督が通達ミスしたのに責任を被せられたり、監督のゴルフに行くというしょうもない急ぎの用にスケジュールを狂わされたり、監督の…

すまん、少しではなかった。

だが、美少女や有名人を近場かつ合法で見ることができる、それだけがやりがいになりつつある。


 メンバーは、リーダーの 佐藤 詩乃(本名 佐藤 史帆(さとうしほ))、平敷 琴(本名 平敷 琴枝(ひらしきことえ))、スン·ヘヨン(本名 同)、鮫 葉月(本名 鮫塚 榛名(さめづかはるな))の四人だ。

絶世のーと言っても過言じゃないほどのトップクラスの美少女。

今まで生きてきて、こんな美人とすれ違ったことすらない。

どうやって監督はこの人たちを見いだしたのかは不思議であるが、辨別があることは認めざるを得ないだろう。

できるなら多少なりとも盗んでみたいものだ。

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