ふたつの鼓動

榊木 夕凪

序章

『プロローグ』

 人は時として選択に迫られる。

 それに数の限りは無い。

 そう。文字通り、無限に等しいものである。

 なのにその時には少しの違いでも、時が経てば恐ろしく感じるほどの大きな違いになる。

 だがそれを、選択するときには気づかない。

 故に、人は後悔をするのだろう。

 ならば人は、後悔しないようにすることができるのだろうか?

 そんな方法があるのなら、誰もがやっているのではないか?


 ……いや、あるのだができないのではないのか?

 だとすれば、その方法は――選択の行く末未来を知ることだと思うのだ。

 人には決してできないし、できたとしてもしてはならないこと。


 でももしそれを知ってしまったら、人はいったいどの選択をするのだろう?

 知る前と同じ選択ができるだろうか?

 その答えは少年なら少年の、少女なら少女の、そんな人の数だけ、答える人の数だけある。

 そこが人の善きところであり、しきところだ。


 所詮人は己自身のことしか考えていないのだから。

 全ての人がそうではないと言う者もいる。が、そう言う者も人であることに変わりない。

 だからと言って、本当にそんな人はいないとも否定できない。

 それこそ人なのだから。



 さて、この物語の主人公たちは、どんな選択をするか見届けようではないか。


 単なる傍観者として。


 なぜなら、これは――彼らの物語なのだから……。

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