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その後、何時間も相談し、相談を受け、夜も深くなった。泊まっていけば良い、と言ったが明日も塾があるので深夜バスで帰りますと言った。
「なんだか、君と話していると色々なことを思い出したよ。ありがとう。通行費にでもしてくれ。」
私なりの誠意で差し出した金は、あっさりと突っぱねられた。じゃあ何か代わりに、と言うと、
「じゃあ、握手して下さい。」
そう言って手を差し伸べてきた。対等な関係を結びたいならサインはダメだって言うから、と舌を出して呟く。彼の指は細く滑らかで、その分自分の手の凹凸が際立った。だが、この手で書いてきたのだ、と思うと何故かもう恥ずかしくは無かった。
街頭も殆ど無いので、懐中電灯を渡すとそれは案外素直に受け取った。
「次の小説、楽しみにしてますね!」
そう言って彼は闇に消えた。と思いきや、懐中電灯を下から当てて振り向いた。
その顔は、ぞっとするほどーーー
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