PHASE 11 :第2小隊、正式に死神受領
「はい、書類の不備はありませんでした。
では、お二人には正式にセクター4へ受領された証として、セクター4用のと第2小隊のワッペンを渡しておきます。
すでに支給されているあらゆる服に取り付けられるので必ずつけてくださいね?」
オンリーの連れてきた新人二人、PSG-1とチャイナレイクにワッペンを渡す。
「次いで、TACネームを決めます。
オンリー隊長、すでに決めてますか?」
「まぁ考えておいたよ〜……書き書き、ほい!
今日から君らはこれで名乗ってもらうよ!」
と、二人の書類に何事か書き出すオンリー。
二人にすぐ渡されたその書類には……
「私は、『エリータ』ですか」
G.W.S.所属死神:『PSG-1』
銃種:セミオートスナイパーライフル
使用弾:7.62×51mm NATO弾
TACネーム:『エリータ』
役職:G.W.S.新兵→セクター4第2小隊新入隊員
「自分は……え、「アキタ」??」
G.W.S.所属死神:『チャイナレイクモデル』
銃種:ポンプアクショングレネードランチャー
使用弾:40x46mmならなんでも
TACネーム:『アキタ』
役職:G.W.S.新兵→セクター4第2小隊新入隊員
「隊長!質問っす!!」
「なんだね、アキタくん?」
「アキタ、って地名っすか?」
「ふふふ……
秋田犬のアキタだ!!!」
えぇー、と驚くチャイナレイクモデルこと、アキタ。
隣でPSG-1ことエリータは顔を背けて吹き出していた。
「ワンコっすか!?ワンコなんすか!?!」
「だってワンコっぽいしね〜。
サイズも大型犬!!」
「うぅ〜……!!でも普通に名乗れる名前だから反応とか反論に〜!!」
「チワワでも良いんじゃないか、アキタ?」
「酷い!!自分がエリータなんてエリートっぽい名前だからって!!」
「洒落も大事さ……駄洒落でも」
「はいはい、長くなるしこれで決定!!
エリータちゃん、アキタちゃん、改めて第2小隊にようこそ!!」
不服な所はあるだろうが、二人はそれでもG.W.S.の死神らしく姿勢を正して答える。
「PSG-1、エリータ着任しました!」
「チャイナレイクモデル、アキタ着任しました!」
「よろしい。歓迎します。休め!」
そして再び3人はレギンレイヴの方へ向かい合う。
「じゃあ、レギンレイヴさん。
PSG-1用のスコープとスナイパーブックをエリータちゃんに」
「分かりました」
ポン、と受領印を書類に押し、代わりにスコープとマガジン、包装された10発の7.62×51mmNATO弾を出すレギンレイヴ。
「弾丸は
「はい。
これ以降は、この書類に弾丸の使用目的、必要数、あなたと隊長のサインを書いた上で、私に提出して弾丸を受領していただきます」
そういって書類を渡され、エリータは受け取る。
「射撃場はここのすぐ隣の階段下にあります。
やっていきますか?」
「ぜひ。スポッターは誰が?」
「普段はナンブちゃんだけど、隊長らしくやっちゃうか」
「あ、隊長!!
自分のは
「もちろん違いますよ?
あ、そういえばセクター移動したので爆発物取り扱い者資格の照合手続きと、安全講習をこちらで受けていただきます」
「うわぁやっぱりぃ!?!」
がんば、と細かくて長い手続きをするアキタを背に、二人はそそくさと隣の射撃場へ移動する。
射撃場は地下一階、『開けたら必ず閉めろ』と書かれた
「あ、」
「お!」
射撃場に来てみると、ばったりと出会うは、SR-16ことスペシャリー。
「なんでいるんだよオンリー!!」
「なんでって、新人ちゃんの零点規正の動向だよ?
もう会ったっけ?PSG-1ことエリータちゃん」
「さっき会ったよ!!」
「先程は挨拶もそこそこに」
「相変わらず真面目だよな、第2小隊らしい新人でいてててて!?!」
「コラ!!スペシャリー、さっきから他小隊とはいえ上官ですよ!?」
と、横から頬を思い切りつねる、栗色のショートヘアーに勝気そうな目の少女が一人。
G.W.S.所属死神:『SR-25』
銃種: セミオートマチック・スナイパーライフル
使用弾:7.62×51mmNATO弾
TACネーム:『ニーナ』
役職:第1小隊『M-フォース』隊員
「いだだだだだだ!?!?
やめい、ニーナぁ!!!」
「まったく……失礼します、オンリーさん」
「別に良いよー、それがスペっちの基本だし?」
「スペっち言うな!!子供扱いしてきてイラつくんだよ!!」
「ごめーんねっ☆」
「謝る気ゼロだろお前ぇ!!!」
ツッコミでゼーハー息を切らすスペシャリーをそこそこに、隣で呆れているニーナに向き直る。
「ニーナちゃん、そういえばスコープ新調だって?」
「はい。お恥ずかしながら、前回の任務で壊してしまい……
未熟なものです」
「まぁまぁ、そう言うこともあるって。
本体が無事だったんだし良いじゃん?」
「恐縮です、オンリーさん」
「本体が?スナイパーライフルは精度が命だろ、歪んだりするかもしれないって言うのに気楽な答えいででででででで」
いちいち突っかかるスペシャリーの頬を捻って黙らせて、ニーナはオンリーの隣のエリータを見る。
「PSG-1、ですか。
我々の先駆けが、後輩というのも変な話ですね?」
「いえ。セミオートとはいえ初期型。
市内で使うにしても、重すぎるスナイパーライフルですよ。
ましてや、米海軍のSEALs仕様相手では」
ほう、とニーナは驚いた顔を見せる。
「分かりますか?」
「24インチヘビーバレルですから。
見れば分かります」
「ふふ、生意気な言い方ですが、一眼で仕様を見抜けるその目は本物ですね」
「元来の性格でも許してもらえるよう、優秀さを示してきたので」
「……でもスペシャリーよりは圧倒的に礼儀正しいです」
「お前と第2小隊にしか突っかからないし、あいてっ!?」
不機嫌なセリフにチョップで返し、改めてニーナはエリータに向き直る。
「お互い今日は、スコープの癖を掴むための零点規正でしょう?
一緒にどうです?」
「私は構いませんが……」
「何見てんだよ、私はお前らの邪魔するほど性格悪くないからな!ナイファーと違って」
「ウチの妹がまた?
ごめんね、あの子性格悪い所あるから……」
「次こそはマットに沈めてやるって伝えてくれ!」
フン、と言いながら壁の温度計を見るスペシャリー。
「突っ立ってないで始めるか」
そう言ってこの射撃場の奥を指差すスペシャリー。
地下に作られた全長約2kmの長い空間。
空調により温度や湿度がほぼ同じに保たれ、それでいて特殊な構造はほぼ無風で換気も良い。
ブリティッシュサイドの技術力によって作られたこの射撃場は、あらゆるライフル、銃で使用が可能な万能な射撃場だった。
「そこのリモコンで机に高さ変えられるよ?
それとも、寝てやる?」
「いえ、立ってやります」
バイポットを下げ、調節した机に自身を置くエリータ。
隣のブースでニーナも自分ことSR-25を置く。
耳栓ヘッドホンを全員装着。
首に巻いた嗚咽マイクと骨振動スピーカーをオン。
安全用ゴーグルを装着して、準備良し。
『よし、初め───』
と、そこで緊急時のためBluetooth接続していた携帯電話が全員の無線に流れる。
『オイ、オンリー』
『いやいや、緊急事態かもしれないじゃん?
だってこれ、ワルキューレの騎行ってことは、』
『脱走した司令からですね』
ぴ、とブラッキィの電話に出る。
『やほー、オンリーちゃーん!!
歓迎会用の肉やらお酒やら買っといたし、領収書も受領したぜー?』
『どーもー!やっぱり参加するつもりで?』
『当たり前でしょー?焼いた肉!野菜!!日本風にライス!!あとお酒で〜、なんて参加しないわけないしー?
でもその前にさー、M-フォースと、悪いけど君らも休憩前にもう一仕事頼みたいんだよね』
と、声のトーンを少し落として、ブラッキィはそう続ける。
『内容は?今全域に通信繋げます』
携帯の通話アプリは特殊な仕様で、即座にセクター内の無線受信機に繋がる。
『OK?
出来るだけ早くしたいけど、ちょっと装備が特殊なんだよね』
『特殊?どんな任務なんですか?』
『簡単に言えば、
***
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