FINAL PHASE :砲火後ジャッジメントタイム
半死半生、いつ死んでもおかしくない。
銃剣二つで地面に縫い付けられた魔界の悪魔が、悪魔も泣き止み赦しを乞う死神達に見下ろされる。
「まず、コイツの奪った魂は約23人分!
23人分だよ、数年で!!!
意外と多い上に、未だに魂の循環を起こさず、この小さい身体に被害者の魂はグズグズに溶けた状態で今でもいます」
意外なほど正確かつ真面目に、悪魔のしでかした事を言い放つオンリー。
「次に、最初に犠牲者3人。
彼らは気がつけば成仏している程度には、自分たちが死んだ事に納得できる善良な魂でありながら、
コイツは、自分の舌で彼らの『オトコ』を掴んで離さずに仕向けた!!
性別どっち?」
「お前、ホモか?」
「ナイデス……ドッチデモ……ナイデス……!」
「気持ち悪。顔も良くないから罪状プラスで。
異議あるものはいますか!?」
『異議なし!!」
呆れているナンブ以外は全員サムズダウン混じりで答えた。
「じゃあ気持ち悪い罪に加えて、私のお菓子罪。リュドミラさんのお酒台無し罪に、」
「私の車ァを、こんがり焼いた罪だよ!!」
「コレがまずかったですよね……わかります?あなたが焼いたモノの価値」
「ユルシテ……」
「……ふぅ」
おもむろにオンリーの足が、尻尾なのかなんなのか分からない部位を踏みつける。
「イジャァァァァァァァァァァ!?!?!」
「質問を
なんですか、悪魔の間では質問に答えないのがトレンドなんですか?ねぇ、どうなんですか??」
「ワカリマセンデシタァ!!スミマセンデシタァ!!」
「そですか♪」
バキッ、とブーツの硬い爪先で怪物じみた顎を蹴って折る。
「〜〜〜〜〜ッッ!?!?!?!」
「あなたそもそも23人食い殺して、3つの魂を勝手に地縛霊にしておいて、
そっちに謝らず、さっきからこんなに怖くて話の聞かない死神相手に赦しを乞うていますよね?
そもそも、私たちが、来ている時点で、
『手遅れ』なんですよ?」
ガシリと悶絶する小さな頭を掴んで凄むオンリー。
「古い死神の言い方をすれば、とっくに晩鐘鳴ってんですよ。
あなたの名前、『────』でしょ?」
ビクン、と言われた『自分の魔界語の真名』に、恐怖と共に視線を相手に合わせる。
「『────』さん、ちゃんと言ってきますね?
あなたは今日死にます。
魂はこの星、この世界を回って魔界にたどり着くでしょうね。
つまりもう、それ以外に帰る手段はないんです。
チリはチリに、灰は灰に、お前は消し炭に、還れ」
乱暴に手を離し、ゆっくりウィプリィの隣に歩いて耳を塞いでもう片方の手を上げる。
全員対ショック・対閃光防御姿勢。
悪魔、絶望の失禁
「撃って」
短いセリフ、放たれるロケット弾。
当たる一撃はさっきと同じサーモバリック弾。
燃えることはもうなく、一瞬で消し炭に。
爆音の余韻はすぐ消える。
後に残ったものはなく、魂は霧散して正しい廻りに戻る。
「……任務完了。
さ、帰りますか!!」
***
「オーッス!!遅かったじゃんみんなー!」
「プッタネスカちゃん、またナポリタン食ってる……!」
道の駅、夜中でも最近は売店がやっているようで、ご当地菓子から地酒まで買っていたプッタネスカは、コンビニでナポリタンを買って食べていた。
「ねぇ隊長!!私は本当はね?『
今からでも変えて良い??」
「事務のレギンレイヴさんに相談かな。
それよりお菓子確保任務ご苦労様!!はいお金」
「ういー!」
そんなこんなでプッタネスカを回収し、一行は帰路に着く。
「へっきし!!冷えるなぁ……!!」
「とっとと、リンボ入ったほうが良いかもねぇ……!」
「な、ナンブさんあったかいですわ……!」
「抱き心地がなんとも……!!」
「潰れりゅ……デカイのに……!!」
「ギャハハハハハ!!!その顔最高すぎますってナンブ先輩!!!」
剥き出しの荷台で皆が身を寄せ合う。
後は、帰るだけだ。
「…………コレで、行方不明の魂の内……
今月の全セクター強化月間で、ようやく2%って辺りだよね隊長?」
キュポン、とデカイ山4つの間から顔を出したナンブが言う。
「あ、さすが元『
情報早いですねぇ』
オンリーの言葉に、少しだけ全員が顔を見合わせる。
「2%??
オンリーさん、全セクターの未回収分でですの?」
「うん。
ウチのセクター、今月は『不死者狩り』系と『蘇り殲滅』も多少減らしても未回収魂の調査に回収ばっかりだったのも、それの関係だって司令官が言ってる」
「……2%は少ないわね?」
「うん……なんか、魂見つからないんだって聞いてまーす」
「嘘でしょ、ライフストリーム循環大丈夫??
また大絶滅期になるんじゃないわよね??」
「末端が考えても仕方ないんですけどさー…………」
ふと、オンリーは真上の夜空を見る。
ここはど田舎、街頭の少ない国道。
いつのまにか霧も晴れている。
「……なんかやだよね……
魂が見つからないって、一体どこに行ったのかな?」
静かに、そう誰にともなく尋ねる気分になる空だった。
***
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