第2話 空の魔人
地上に降り立った彼女らーー民間環境軍は、その森に攻め行った空の魔人を掃討するため、各々森の中を駆ける。
だが、新入りは腰を抜かしたまま周囲を呆然と眺める。
そんな彼に、一人の女性は声を掛ける。よく見ると、その女性は新入りを気球船から飛び降りさせた女性だ。
「新入り君。名前は?」
「
「そうか。では簡潔に説明しよう。ここは空の魔人という種族に攻められている。だから我々は空の魔人を殲滅し、この森の生態系を破壊することなく保つ。それが環境アセスメントだ」
「では、空の魔人を倒せばいいんですね」
「ああ。なるべく環境は破壊するなよ」
「了解です」
神野王が立ち上がると、彼の背後から空の魔人が襲ってきた。
天狗のように長い鼻に、天狗のような羽が生え、天狗のように空を飛んでいる。まさしく天狗である。
「先輩、あなたは何の恩恵を授かっているのですか?」
「木を操る能力の視覚型だけど……」
「分かりました。それだけで大丈夫です」
神野王はその女性の目を一度凝視すると、神野王の目の色は白から緑色へと変わる。その後、視線を背後にいる空の魔人に向ける。
「『
周囲の木の根が空の魔人へと絡み付き、空の魔人の動きを一瞬にして封じた。
「あなたの能力って……」
「僕が授かりし恩恵は、他者の恩恵をコピーすることです」
女性は驚きを表情に表す。
だがその少年はその能力が強いものだと思っていなく、彼女が驚いていることに少し疑問を感じる。
「神野君……」
女性が何かを言い欠けた途端、遠くの方で爆発音が響く。
「神野君。行くよ」
「はい」
神野と女性は爆発による煙が上がった場所へと走る。
爆発が起きたその場所では、将軍と謎の男が戦っていた。
「『
その掛け声とともに爆発が森に咲く。
刀を抜いた将軍は、木の上にのって周囲を見下している謎の男に声を掛ける。
「お前、何者だ?」
「〈大災害〉のメンバーの一人、ヒューズでーす」
「何が目的だ?」
「さーね。でも君じゃ僕ちゃんには勝てないんじゃないーの?」
舐めきった彼の口ぶりに将軍は腹を立てる。
将軍はその男に斬りかかった。
「はあああぁぁ」
彼女は木の上へと飛び、そこにいる彼へと斬りかかった。だが彼は避け、将軍の刀の上で片足立ちをする。
大道芸人のような体の軽快さに、将軍は苦戦する。
「ねえ。やっぱ民間の環境軍の将軍はそんなに強くないんだね。見た感じ、恩恵とかも授けられてないみたいだしさ」
「うるさい」
力強く振るった一刀であったが、既に男は刀の上にはいなかった。
「そろそろとどめを刺そうかな」
神野と女性はようやく爆発が起きた場所についた。そこで最初に目にしたのは、爆発によって吹き飛ぶ将軍ーー
「
神野王は、その男へ向かって走る。
「次の獲物は、君か」
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