第34話 侵入者

雨が激しく降る台風の夜に、それは始まった。


天候の悪化が激しい為に、交通機関が早々と路線を終了していた。

私は、仕事が終わらない為に電車を逃してしまい、帰宅できなくなっていた。

仕方なく事務所で、作業の続きをする事にした。


時折風が強くなり、雨が窓をバタバタと叩く音がしてる。

そんな折り、事務所なドア勢いよく開いた。

強い風の為に開いたのであろう。

とりあえずドアを閉める。

ドアの開いた床はグッショリと濡れていた。

不思議なこともあるものだと思い、ドアを閉めた。


夜の11時を越えたころ、私のデスクの向かい側のパソコンが起動し始めた。

何故、人もいないのに?

気にもなったので、電源を切りに行った。

マウスを動かそうとした時モニターに、


殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺


と殺すという文字が羅列し始めた。

私は、怖くなりパソコンをいじる事さえできなくなっていた。

もうこの部屋には居たくない。

この思いが強くなり、台風の中外にでる決心をした。

帰り支度をしようと自分のデスクに戻ってみると、イスがグッショリ濡れている。

床にも私の前を歩いたように、濡れた足跡がついている。


近くにいる


こう思うと居ても立っても居られなくなり、その場を足早に去る事にした。

外は台風の真っ只中、上着すら持たないで飛び出した。

暴風と豪雨の中、街をさ迷い続けた。

結局、家に帰る事が出来ないまま朝を迎えた。

その頃には台風が過ぎて、太陽が昇ってきてた。


事務所に人が来るのを待ち部屋に戻った。

私のパソコンと向かいのパソコンには、電源が入ったままの状態を維持したままだった。

画面には「殺」の文字は無かったのだが、私のパソコンに、「私はここにいる」と入力されていた。








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