ぼくは紛い物

ぼくは紛い物で構わない

本物であることが

窮屈なときだってあるから


人の道を逸れているわけじゃあないよ

人の輪からはみ出しているだけだから


人の輪のなかは息苦しい

息苦しさがなにもかもを

嫌にする


紛い物のぼくには

はみ出しているくらいが

ちょうどいい



昔は人の輪のなかに

隠れているのが

安心できると思っていた

目立たなくてすむだろうと

考えていた


でも

本物ばかりの人の輪は

紛い物であることを

余計に意識してしまって

無理して真似てみるけれど

やっぱりできなくて

最後には

逃げ出してしまいたくなった


ここはぼくの居場所じゃない



ぼくは紛い物で構わない

紛い物であることを

受け容れてしまえば

なんてことはない


協調性がないわけじゃあないよ

やるべきことはやっているから


紛い物なりの

自信を持っているくらいが

ちょうどいい


ぼくには

ぼくの居場所がある

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