第33話 ナオキ対談
帝都はなかなかににぎわっていた
道には整備された街路樹が何本も植えてありその間には黒い街頭、道は石畳みで幅はとても広く、人が広がって歩いていても四輪車が走れるであった。そしてその両側には様々な家や店が建っていた。帝都は全体的に木の色と、亜麻色、赤朽葉色、赤香色などが混ざった色をしている。
更に街には橋も架かっており川沿いの道にはボートまで止めてあった
「さすがに人が多いなー……しかし四輪車なんてあったのか 帝都は発展してるな まったく凄い格差だよ」
そういいながらナオキをみると、さっきよりも元気のない顔をしている。
「おいおいどうしたー?もう疲れたのか?」
ナオキ「いや……なんか人が多すぎて……気持ち悪い……」
どうやら人の多さに酔ってしまったようだ
無理もない、今歩いている道は割りと主要な大通りで、道は広いが歩道は人の数に対してみれば若干窮屈である 畑と数軒の家と自然しかない村で生きてきたナオキにはきついだろう
(……んー飲食店で休もうにもさっき食事は軽くしてしまったし……食べ歩きもしてみたかったが、まずは広いところを探すか)
そうして大通りの交差点を右折ししばらく歩くと公園があった
緑が多く広い公園だった
「ここで休憩でもするか?」
ナオキ「ああ、すまん……」
俺とナオキはベンチに腰掛け、しばらく休むことにした
しばらく休んで元気が出たのかナオキは唐突に尋ねる
ナオキ「なあ?お前は旅に出るって言ってたけどどこに行くんだ?」
(……今後の話のことか、俺のを参考にでもするのかな?)
「んーまだあまりこの世界のこと知らないからな、まずはいろんなところを見て回りたいんだよ。でもまだ何の計画もないから分からないな」
ナオキ「この世界のことを知らないか……俺主似た様なもんだが、お前はどこから来たんだ?長老の話では森から来たと言っていたけど」
「俺はつい数日前まで木咲の森のどこかから湊村に来たもんだと思ってたよ、でも違った 木咲の森は俺のいた森より全然小さくて、動物もいなかった……」
ナオキ「お前は地下水脈を通って井戸に来たんだったな?途中の記憶は無いのか?」
「多少はあるけど、場所を特定できるようなものは無いよ、長老もそのうえで木咲の森かもしれないって言ってたんだから」
ナオキ「ふーん?まあ村に繋がっていた地下水も木咲の森から流れているからそれ以外はありえないからなー」
「だからもう旅に出るしかないだろ?俺には過去の記憶もないんだ、なんで能力があるのかも分からないし」
ナオキ「俺たちは能力者なんだっけ?ホウガとかいう奴が言ってたな。」
「ああ、前世の記憶をもって転生する。だが俺にはその記憶がないし、今の自分の過去の記憶もない。前世の記憶に関してはナオキもそうなんだろ?」
ナオキ「そうだな、だが今の俺の記憶は一応小さいときからあるんだよな。両親がいたことも何となく覚えてる」
「じゃあ俺だけ特殊なのかな…いや前世の記憶ないならナオキも特殊か」
ナオキ「お前はその割にはなかなか物知りだよな?その知識は何なんだ?というか知識があるならそれを知った時の記憶とか無いのか?」
「それがないから困るんだよ……そうだな、ナオキは自分の話している言葉の単語の意味や使い方をどこで知ったのか覚えてる?食べるとかそんな一般的なのを」
ナオキ「日常的過ぎて覚えてないな、思えばいつの間にか知ってて使ってるからな。」
「だろ?これは食べるです!みたいに直接的に教えられたのかもしれないし、ただ大人の真似して使って覚えただけかもしれない。俺の今の知識もいつの間にか知ってましたーって感じなんだよ。」
ナオキ「なるほどなー」
俺はうまく例えられたか微妙だったが何とか伝わったみたいだ
ナオキ「それでお前は旅で色々見て回ってこの世界を知って、自分のことも知りたいってことか?」
「そうそう!例の転生者について知ってるやつにも会いたいな。この帝国で転生の儀をやってるとも聞くし」
ナオキ「……確かにな、俺も強くなるために旅に出てみるのもいいかもしれないな」
「強くって……軍隊もある帝国の中でそんな旅していいのか?」
ナオキ「傭兵になる、自由に色々なところで剣をふるって旅できる仕事だ」
「傭兵!?この帝国にそんな職業あるのか?それ殺し屋とかの非合法な仕事じゃないだろうな?」
ナオキ「いや?あるぜ、なんせ長老が地図と一緒に傭兵について書かれた紙を渡してくれたからな」
そういうとナオキは一枚の紙を取り出し俺に見せる
「なになに……国家公認の傭兵募集案内……
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