第3話 オリーブオイル
平日の昼時。次男と三男は学校へ行き、今日は講義がないという大学生の長男と母だけが食卓にいた。
テーブルの上には昨夜の残りのシチューとサラダ。
「ドレッシング…あったかな…」
冷蔵庫を除く母に長男が
「オリーブオイルと塩があればいいよ。」
と声をかけた。
「そお?じゃあ…」
と母はキッチンのオリーブオイルを持って食卓へ。塩は食卓に常備してある。
塩をサラダにふった長男はオリーブオイルを手にとるとニヤリと笑った。
「まずはあらかじめ冷やしておきましたオリーブオイルに、」
「冷やしてないけどね」
さえぎる母に構わず長男は続ける
「オリーブオイルを混ぜます。」
「………」
「そして!」
長男は一呼吸おいて期待を持たせると、手にしていたオリーブオイルを高い位置にかざし、卓上のサラダに回しかけた。
「鍋に熱しておいたオリーブオイルに先程のオリーブオイルをたか〜い位置からまわしかけます。」
「そこにあるのはサラダだけとね」
とりあえずツッコミを入れてみる母
「お皿に盛りましたら最後、風味づけのオリーブオイルをかけていただきましょう」
長男はサラダを口に入れた。
クスリと笑った母は長男のジョークらしきものにノッて見ることにした。
やはり塩とオリーブオイルを自分のサラダにかけて一口食べると満足そうな笑顔で言った。
「これは…!見た感じはオリーブオイルですが、口に入れた瞬間オリーブオイルのかおりが口いっぱいに広がりますね!まさにオリーブオイルのオリーブオイル煮オリーブオイルがらめ、オリーブオイルの一品と言えますね」
そして長男と目が合い、2人で大笑いするのだった。
平和な風景…
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