第350話あわシュワコラボ4
「シュワちゃん。これからのこと、少し話し合いませんか?」
「これからのこと?」
そう、その理由とは、これからどうしていくかを自分自身と話し合いたかったこと。
AIとはいえ、自分と声を出して話し合えるなんて機会は滅多にない。やらかした後で打ちのめされている現状を打破する方法を、是非ともここで見つけていきたい……!
「どしたん? 話聞こか?」
「なんか気に障る言い方ですけど、まぁいいです。実はこんなことがありまして」
私は、禁酒中になってしまった経緯を説明した。
「というわけなんですが、これからどうしたらいいですかね……」
「ちょっと待って情報を処理しきれないど」
「はいぃ? ポンコツなところまで本人再現しないでいいですよーってやかましいわ」
「お酒を飲むとフォームチェンジして、やり過ぎてタスクオーバーで気絶した……」
「そうですそうです」
「-196 not found」
「エラー文にエラー起こすな!」
コメント
:こっちも気絶して草、再現度やべぇな
:何がポンコツじゃ超高性能じゃねぇか
:お前がおかしいんじゃい!
:エラーを実行したらそりゃエラーで返ってくるのよ
:これがが本当のヒューマンエラーってな
:何もしてないのに壊れたって思ってそう
:AIが人間に勝てない理由
:対AI用最終兵器
:これもうジ〇ン・コナーだろ
:シュワちゃんなのにジ〇ン・コナーなのか……
:洒落たエラー文憎めない
<相馬有素>:私に出せる最大スペックのAIでありましたが、エラーを吐かせるとは……流石淡雪殿であります!
どうやら私が悪かったらしい……事実を言っただけなのに……。
その後、有素ちゃんの方で経緯を学習させてくれたみたいで、新verでの対話再開となった。苦労ばかり掛けてごめんね……。
「どどどどー! 新しく知識を付けたシュワちゃんだどー!」
「おかえりなさい。ちゃんと理解できましたか?」
「うん! 心音淡雪は神様だから人間じゃありえないことも出来ちゃうんだよね! ちゃんと教わって来たシュワちゃんえらい!」
「有素ちゃーん?」
コメント
<相馬有素>:一時的な対処であって決して私の個人的な意思が介入したわけではないのであります
:コメント打つの速すぎて逆に怪しいんよ
:どうやってその文字量1秒で打った
:寿司打うまそう
:用意してただろw
:AI学習ってそういうもんなの……?
:なんかよく分からんけどえらい! ¥220
言いたいことが山ほどあるけど、正常に動作してくれるのならいいか……。
「それでだ! シュワちゃんはこう思った!」
「はい! お聞かせください!」
「ストゼロちゃんを信じなかった報いだと!」
「やっぱダメだこいつ」
「こいつじゃなくてシュワちゃんだどー!」
「そうですよね、元がダメなんだからAIになってもだめですよね、ほんとごめんなさい……」
コメント
:人選ミス
:これ以上ないほどシュワちゃんなのが欠点なの草
:バカかわ(バカっぽくてかわいい)
「真面目に聞けって!」
「はいはい、ストゼロがなんでしたっけ?」
「今回のことはな、ストゼロちゃんを信じることの重要性を改めて知る為の教訓だったってことよ!」
「はぁ……」
「つまり、素の自分を大切にしなさいってことだど」
「え?」
なんだかストゼロの名前を聞くたびに呆れやら飲みたいやら反省やら、色んな負の感情が頭に渦巻き、とうとうため息をついてしまった。
そんな中放たれたシュワちゃんの真面目な一言は、まるで狙って油断した私を射抜いたかのようだった。
「だってさ、ストゼロフォームは素の自分なんでしょ? それで地の底からここまで這い上がってきたんだから、いきなり急激な変化を入れようとするのは良くなかったってことよ」
「な、なるほど?」
「違うお酒を飲むと、素とはまた違う一面が出てきちゃうってことでしょ? もしそれをやり過ぎたら素の自分を見失っちゃうかもしれない。それはさ、きっとしんどい毎日だど」
「それはそう……ですね……」
一度射抜かれれば後は総崩れ。そこからのシュワちゃんの言葉に、私は抵抗の術を持たなかった。
素の自分を大切にか……そういえば、私はそうするようになってからバズッたんだったよな。
初心を忘れるな、あのやらかしはそういうことだったと捉えろっていうのは……確かに少し前向きになれるかも。
「と、ストゼロちゃんは申しております」
「お前の意見じゃないんかい!」
「シュワちゃんからはもっとストゼロの売り上げに貢献しろ! そしてもっと私の出番を増やせ! それだけだどー!」
「私利私欲がすごい……」
全く、かっこつけ慣れてないんだから……。
あーでもなんかこういうところ……自分で言うのもなんだけど、私っぽいかも……。
コメント
:wwwwww
:真面目な話になったかと思ったらこれよ
:ストゼロ飲まないとシュワちゃんの出番減るからなw
:最近は禁酒で更に減っているという笑
:感心させて最後にネタにするのめっちゃ淡雪だなーって思う
:ナイス完成度!
<相馬有素>:えっへん!
:途中はそれらしいこと言ってた希ガス
:素を出していかないと長続きさせるのはしんどいわな
:自分にも仲間と同じ視点でアドバイスしてくれるのいいなー
「まぁやらかしたことは反省すべきだけどなー」
「それは勿論です……申し訳ございません……」
「だ、け、ど! 得たものの大きさに目を向けていないのも同じくらい反省すべき!」
「さっき言った教訓ですか?」
「それだけじゃないでしょうが!」
シュワちゃんはどうやら私にもどかしさを感じているようで、どんどんヒートアップしていく――
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