第265話加入完了3

「会話もいいけど、俺ちょっと寿司食おうかな。色々あって迷うけど……お、いなりあるじゃん、一個貰うな」

「い、いなり……」

「ん? どした匡ちゃん? あっ、ちょっと子供っぽかったかな? でも好きなんだよなーいなり」

「い、いや、大人っぽいと思う……」

「え? まじ? なぜ? んぐっ」

「ぁぁ……すごいエッチなのである……」

「んんッ!? ごほっ! ごほっ! うぎ!? 鼻に米がああああぁぁぁ!?」

「ちょっと大丈夫!? ティッシュ使う?」


 しばらくの間ミュートが入った、ダガーちゃんが鼻でもかんでいるのだろう。賑やかな一家だなー……。


「す、すまん戻った。全くもう匡ちゃん! いきなり変なこと言うなよビックリしてむせただろ!」

「い、いや、ダガーちゃんがいなり食べるシーンとかどう考えても放送コードスレスレであるし……」

「思春期拗らせすぎだろ100年後のヨーチューブか!」

「宮内的にはそのヨーチューブの方針は嫌いじゃないな、ふふふ」

「配信者として困りそうだから俺は勘弁してほしいな……」

「でも分かるわ匡さん。いなりってエッチよね」

「え、先生まで? まじで言ってる? なぜ?」

「裸のシャリがね、お揚げに包まれてるのよ? 色々妄想できるけど、例えば包まれるまでの過程を情事とするなら事後よねあれ、抱かれて眠ってるの。いなり寿司は事後って覚えて帰りなさい」

「……匡ちゃんもそんなこと考えてたのか?」

「こんなアホと一緒にしないでほしいのである」

「先生に対してアホって言うな!」

「そっちもクソガキって言ってくるであろうが」

「先生はいいんですー目上だからいいんですー」

「もし俺らと逆の立場だったら?」

「はっ! 全力被害者面でネットに晒して先生の社会的死を誘発させるに決まってるじゃない! 時代錯誤のバカには現代の先生を生かしているのは生徒だってことを思い知らせてやるわ!」

「よしやってやろうぜ匡ちゃん!」

「うむ! ぅぅぅ……今日学校の先生に罵倒されてメンタル崩壊しちゃったのである……」

「無駄よ。教員免許を持っていないこのチュリリにそれは効かないわ」

「その発言の方が先生としては大ダメージじゃねーか!」

「罵倒教師よりよっぽど酷いのである……即刻クビであるぞ」

「愛の授業を教えるのにそんなもの必要ないのよ。そして教員免許を持っていないヤブ教師である以上どんな世間のルールにも先生は縛られない、私がルールなの。覚えておきなさい、弱い人ほど資格や学歴に縋るのよ」

「先生が強い人なら宮内は弱い人でいいのである」

「こんなこと言い出す大人にはなりたくないしな」

「怒った、マグロ食べちゃうから」

「むしろ今までなんで食べてなかったんだよ」

「いい部位こっちに譲るのやめろって前もいったのである」

「うるさいわね……脂っぽいものがきつくなってきただけよ……」


コメント

:無免許は草

:いなり一個でこんなに盛り上がれるってすごい関係だ

:なんか聞いてていいのか不安にすらなってきた

:その米ください

:どの米か絶対に言うなよ


「話戻るけどさ、2人とも食事の時くらい食欲に集中しようぜ」

「いなりがエロいのが悪いわ」

「そうである」

「責任転嫁しない! 三大欲求で括るならさっきの寝ながら食ってるのと似たようなものだぜ? 常識と言われつつなにかと忘れがちだけど食すってのは目の前にその食べ物が並ぶまでの過程に感謝すべき行為だ。それは大切なことだろ?」

「ふんっ、分かってないのは貴方の方ね! 性欲と睡眠欲は全くの別物よ。先生は食材に対し味わうと同時に欲情している、それは見方を変えればこれ以上無いほど食に直向ということだわ」

「それは議論が必要な言い分であると宮内でも思うぞ……」

「はいはい分かった。食に直向ならそれもありなのかもしれないけど、その中にちゃんと感謝を忘れずにな」

「「はーい……」」


 ダガーちゃんすごくいいこと言ってる、そのはずなのになんで記憶喪失に常識を教えられてんだってツッコミたくて仕方ない……しかも片やヤブとはいえ先生だぞ……。

 どうしてこんなに記憶喪失が似合わないんだダガーちゃん……。


「えっと、更に話は戻ってというか、元々はなんの話してたんだっけか?」

「宮内は2人のことどう思っているかという話だった気がするぞ」

「あーそれだ。俺はあれだぞ、匡ちゃんのことノリの合う友達だと思ってるぞ」

「……そう言われると嬉しいものだな、やはり持つべきものは友であるな」

「ムッツリなのが玉に瑕だけど」

「ムッツリじゃないが!?」

「それで先生は……」

「……なによ?」

「手のかかる大人?」

「最悪の存在じゃない! もう知らない!」

「いや違う! 悪い意味じゃなくて! 手のかかる方がかわいいって言うし!」

「それは子供だから許されるのよ!」

「あと、やっぱり先生は真面目だよ」

「……真面目なんて今の世の中欠点よ、おかしくならないとやってられないわ。これから暴れまくってやるんだから」

「そうか? 俺は真面目な人好きだけどな」

「…………あっそ」

「先生顔真っ赤である、照れてるな」

「お目目チャック!!!!」

「その表現はちょっと怖いのである……」


 先生の燃えキャラ(炎上的な意味で)から萌えキャラへの変化が止まらない……きっと第一印象では分からない良さが沢山ある人なんだな……その良さを深く知ってる同期が居るっていうのはやっぱり箱ならではの長所で、ぜひともこれからバラしまくってほしいところである。

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