第150話光ちゃんとデート1

聖様の収益化がポポポポーンされた日から2日間が流れた。

正直未だに気がかりなのは否定しないが、翌日の光ちゃんとのデートの雰囲気を壊すのも何か違う気がしたので、デート自体は全力で楽しむことにした。

なんだろう、感覚的な問題だから説明しにくいけど、通話したときの聖様の様子からあまり気にしないでほしいって思いが伝わってきたんだよね。友人の勘ってやつだ。

もしネタにして笑い飛ばしてほしいのならそうするし、相談したいことがあるのなら全力で協力したいが、今は聖様のアクション待ちの状態である。

というわけでデートから帰ってきた翌日、筋肉痛が残る足からくる運動不足の四文字に全力で目を逸らしながら、今日も配信をスタートしたのだった。

……今度リングフィットを本格的にやろう。


「皆様、こんばんは。今日もいい淡雪が降っていますね、とっても清楚な心音淡雪です。そして?」

「こんピカー!! 祭りの光は人間ホイホイ、祭屋光ドゥエエエェェス!!」

「なんか光ちゃんいつにもましてテンション高いですね? 私溶けてしまうかと思いましたよ。ごめんなさい嘘です、飛んでるタイプのパリピが来たのかと思って体の芯が凍りました」

「今日は少しだけボウリングをプレイしていたからね! 体が温まってるのさ!」

「本当にパリピだったみたいですね、流石光ちゃん」

「パリピじゃないよ! 一人で行ってきたもん!」

「え、一人で? 昨日私とあれだけ歩き回ったあとに? なぜ?」

「最近野球界が盛り上がってるからプロ野球選手系VTuberになろうと思って!」

「その為にボウリング…………なぜ?」

「なんでだと思うー?」


さてさて、今日もライブオンが始まりましたなー。

一見飛んでるのかと心配になる会話だが、光ちゃんとは長い付き合いな上に昨日あれだけ振り回された私だ。ここらでいっちょ光ちゃん風で言うと友情パワーとか絆の力ってやつを見せてやるかな!

私と光ちゃんの間に分からないことなんて存在しないのさ!

野球からボウリング……なるほどなるほど、整いました。


「それすなわち」

「違います!」

「光ちゃん、私は今心の中で君との友情を試そうと思っていたんです、それを答えることすらできないまま否定された私の身にもなってください」

「ごめん、自分で説明したい欲が出てきちゃって途中で止めちゃった……」

「全く、次は我慢してくださいね?」

「はーい!」

「いきますよ? それすなわち、利き手を鍛えようとしていたから!」

「違います! でもちょっと惜しい!」


うん、だめだわ。いくら友情があっても分からんもんは分からんのよ、だって根底にある常識が違うもんライブオンの皆。むしろ惜しいところまでいけたことを褒めてほしい。

もうね、ライブオンの皆と会話が通じ合う人はマルチリンガル名乗っていいと思うのよ、すっごいグローバルな環境だよライブオンは。


「それじゃあ正解はなんですか?」

「野球は球を投げる競技なわけだよ! つまりボウリングの球を投げれば最強! デカさ=強さ! その為の練習だったわけだよ!」

「光ちゃん、野球で使う球は決まっているんですよ。ド〇ベンですらボールは守ってたんですから」

「世の中には二刀流で不可能を可能にした男だっているんだよ! ボウリングボール投げるくらい問題ない!」

「だめだよ」

「だめなの?」

「だめなの」

「そっか! なら仕方ないね! ボウリングは運動不足解消の為でもあったからいいや!」

「分かってくれたのならいいんです、ちなみに重いボウリング球を野球みたいに投げたりしてないですよね? そんなことしたら床が傷ついてしまいます」

「そんなのマナー違反だからやらないよ! 光は正義に生きる子だからマナーは守るもん!」

「それなら普通の野球ボール使ってくださいな」

「野球ボールで200キロ投げちゃうもんね!」

「目標が高すぎる、せめて100とかから刻みません?」


コメント

:こんピカー!

:雪祭りコンビ!

:開幕から光ちゃん光りまくってんなぁ

:テニスの王〇様ならボウリングしても許してくれそう

:大海原で海賊と戦うのに比べたらボウリングなんてフェアプレーよ

:(ボールが)でか過ぎんだろ……

:キャッチャーと審判がピンみたいに倒れていくのが見えた

:審判「ストライク!(やけくそ)」

:審判ボールのことガターって言いそう

:バッターアウトならぬピッチャーアウト

:粘着物質規制されたから試合中にシコれなくなった(泣)

:股間から粘着物質生み出すのはやめてもろて

:色んな意味でデッドボール


ほんと、相変わらずパッションで生きてるなぁ光ちゃんは、猪突猛進の言葉が相応しい生きざまだ。

ここまで純粋で素直な子が育ったのは奇跡だからね、ライブオンの中では下ネタも言わないから実は癒し系でもあるのかもしれない。異論は山ほど受け付けます。


「さて、前にも告知した通り光ちゃんと一日遊んできたので本日はその振り返りがメインになります。今日もよろしくね、光ちゃん」

「こちらこそよろしくぅ!」


どれから話せばいいか分からないくらい色々なことがあったからな、まずは何から話そうかな。 

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