第78話ワルクラ配信4

ワルクラチャット

<朝霧晴>:はっはっは! どうしたのかなシュワッチ? さてはこの凍えそうな季節に孤独な羽を重ねた生足魅惑の消臭ニキであるオレンジ色使いのコーディネーターの姿を見て感動して動けないのかな?

<宇月聖>:ふむ、流石は晴先輩だ。私のファッションセンスといい勝負ができるかもしれないね

<朝霧晴>:やった! セイセイに褒められちった!


「いや色々混ざってる! 混ざりすぎて意味わからなくなってるから!」


危なかった、まさかの不測の事態二連続に脳の処理速度を超えて体が硬直してしまった。


「まったく、この人達フリーダムすぎでしょ……」


まさしくライブオンの洗礼を受けた瞬間だったな。時間にして僅か数分の出来事のはずがあまりのインパクトで脳裏にこびりついて離れない。

落ち着け淡雪、相手はあのライブオン黎明期を生きてきた先輩たちだぞ? もっと脳にストゼロを回せ、もっとシュワシュワするんだ!


コメント

:出てくるだけで面白い奴らのオンパレードや……

:全裸の女がファッションを語るな笑

:シュワちゃんがボー〇ボのビティみたいに叫びツッコミし続けていらっしゃる…これが魔境…!

:あの漫画には大変お世話になりました

:最近、シュワちゃんって実はまともなんじゃね?と思いだしてる(錯乱)

:シュワちゃんがまともなのもライブオンが運営できてるのも人類が存在してるのも宇宙が生まれたのも全部朝霧さんが居たからじゃないか!

:世界、全て朝霧さんのおかげだった ¥20000

:S〇EDだけにフリーダムってな、はっはっは!

:やかましいわwww


ワルクラチャット

<朝霧晴>:シュワちゃん! ライブワールドにようこそ!

<宇月聖>:待ってたよ私のダッチワイフ

<心音淡雪>:入るの遅れて申し訳ないです……あと聖様は後でしばきます

<宇月聖>:なぜだ、私は遠距恋愛のカップルが4ヵ月ぶりに直接会えたくらい甘い抱擁をしたつもりなのだが

<朝霧晴>:ハレルン的にもオールオッケー!!

<宇月聖>:あれー?


ふふっ、最初は驚きもしたけどこの世界に皆がちゃんと存在してるって実感できてなんか安心してきたな。


ワルクラチャット

<朝霧晴>:それじゃあ私は園長の動物園からミルクを貰ってくる予定があるのでサラバ!

<心音淡雪>:承知です!

<宇月聖>:気を付けて行くんだよ


なんか晴先輩と配信でこんなに近いのも初めてな気がするし……

……あれ? 気がするっていうかこれもしかして――


コメント

:思ったんだけどこれシュワちゃんと晴パイセン初コラボじゃね?

:マ?

:よくよく考えるとそうなのか

:一応シュワちゃん収益化の時とか歌動画で一緒してるけどあれはコラボと言っていいのか怪しいしなぁ

:初代主人公と次世代主人公の初会合やん!

:あかんなんか感動してきた


「まっじで!?」


え、コレ晴先輩と初コラボってことでいいの!? だよね? つまりはそういうことだよね!?

ヤバイこんなに狼狽えてるの久しぶりだ、動悸までしてきたぞ……

急いで去り行きつつある晴先輩の背中に向かいチャットを打つ。


ワルクラチャット

<心音淡雪>:晴先輩! 初コラボありがとうございます!

<朝霧晴>:お? ほんまやん! ……でも私との初体験がこれってなんか物足りなくない? 後日もっとすごいこと……しちゃわない?

<心音淡雪>:もっと……すごいこと……?

<朝霧晴>:ふっふっふ! 期待しててね!


そう意味深なことを言い残し、晴先輩は去っていった――




「晴先輩とコラボ……コラボかぁ……」


聖様の拠点の近くで素材集めの為に木を伐採しながら、もう何度目か分からない程同じ話題を繰り返している。

緊張もするがそれ以上に楽しみだ。ちゃみちゃんじゃないがこれは夜寝られないかもしれない。


ワルクラチャット

<宇月聖>:シュワちゃん、もうすぐ夜になるけどベッドは持ってる?


「え、もうそんな時間!?」


作業に没頭していて時間の流れすら忘れてしまっていたようだ。

まずいな、このゲームは夜になるとプレイヤーを襲ってくるさまざまな敵がスポーンするようになっている。今の私じゃあ太刀打ちは厳しいだろう。

ベッドを作って、マルチなのでみんな揃って寝れば夜を飛ばし朝を迎えることができるのだが……

あいにく作るのに必要な羊毛を手に入れる手段に恵まれなくて作りたくても作れない……


ワルクラチャット

<宇月聖>:もし無いのなら私の家ダブルベッドにしてるから一緒に寝ないかい?

<心雪淡雪>:感謝の極み


なぜダブルベッドなのかはあえて触れないでおこう。家の中にお邪魔させてもらいベッドに横たわる。

すると何故か聖様が私の横たわるベッドに乗り、小刻みに動き始めた。

ん? 一体何をしているんのだろう? 一人称視点じゃあよく分からないな。三人称視点に変えてみるか。


だが私はすぐに後悔することになった――画面に映ったのはしゃがむボタンを連続で入力し、私に向かって腰を振る聖様の姿だったのだ。


ワルクラチャット

<宇月聖>:アンアンアンとっても大好きストゼロの嫁女ー!! プルタブの締まりがきつくて私の秘密道具が四次元ポケットから溢れちゃううぅ!!


「おいこら」


私のフレンドリーファイア処女は聖様に捧げたのだった。

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