第65話クイズ動物の不思議4

「次が最後の問題になるので、もう容赦なしの難問ですよ!」


むっ、次が最後となると、現状全員が一回ずつ正解しているから、次の問題の正解者がそのまま企画の勝者になるってことか。

これは気合いを入れて(笑いをとりに)いかねば!


「シャチから海洋生物が続きまして、次のお題は『アンコウ』さんですよ~」


ほーほー、これはまたストゼロが捗る名前が出てきましたな。


「アンコウさんは見た目からも想像がつくかもしれませんが深海魚に分類されるお魚さんですよ。海底に潜んで近寄ってきた獲物を大きなお口でガブッと丸呑みしてしまうんですよ~。また、そのグロテスクな見た目とは裏腹に非常に美味な魚でもあり、鍋などで食べたことがある方も多いと思うのですよ。特にアンキモと呼ばれている肝は絶品なのですよ~」

「エーライちゃん明日鍋パしようず、アンコウ一匹頼んだ!」

「動物園のアンコウさんは食用じゃないですよ~」

「あ、光いい鍋持ってるよ!」

「具材は何入れようかなー」

「あれ~ですよ~?」


こんな話聞いて我慢できるか! 明日の晩御飯はアンコウ鍋に決まり!


コメント

:プシュ!

:三人とも乗り気で草

:チョウチンアンコウは生物における進化の可能性を感じた


「まぁ鍋の話は置いておいて問題の方行くのですよ~。このアンコウさん、実は雄の個体に想像もつかないようなすごい特徴があるのですよ! その特徴は何でしょうかですよ~!」


ピコーン!


「はい光先輩どうぞですよ!」

「ふっふっふ! 流れに乗って二連続正解行っちゃうよ! ずばり実は体の中に軍神の如き采配を見せる車長、その軍神の考えを正確に理解し良き支えとなっている通信手、射撃の名手である砲手、装填スピード随一の装填手、運転技術が天才的な操縦手の5人が乗っている!」

「アンコウチームさん乗り物間違ってま~すですよ~。ボケ全振りの回答で自分から流れ断ち切ってどうするのですよ~!」

「戦車道、履修したいぜ」


ピコーン!


「はいシュワちゃん先輩どうぞですよ!」

「雄より雌の方が好きです。雌の問題に変えてください」

「回答を言えですよ! クイズで問題変えろは前代未聞ですよ!」

「反省はしている、だが後悔はしていない」

「あ、そろそろ動物園のイリエワニさんがお腹すいてる時間ですよ~」

「後悔はしている、だが反省はしていない」

「むしろ悪化してどうするのですよ……」


ピコーン!


「はいネコマ先輩どうぞですよ!」

「レベルを上げて物理で殴るのが最良の戦闘手段」

「ツッコミを入れたいんですけど必ずしも否定できないので困るのですよ~。これで回答が三回出たのでヒント行くのですよ~。ヒントは『小学校高学年くらいの男女』ですよ!」


ピコーン!


「はいシュワちゃん先輩どうぞですよ!」

「コミックLOは結構好きです」

「ん? コミックLOってなんですよ~?」

「少女漫画雑誌だよ」

「ほへ~、今度調べてみるのですよ~」


コメント

:おいいい!!

:とんでもない名前が出て草

:少女漫画、漢字の意味で考えればまぁ間違いではないな

:少女(が出てくる)漫画雑誌

:LO好きとか雌の射程範囲広すぎだろこの女

:エーライちゃん逃げて!


ピコーン!


「はいネコマ先輩どうぞですよ!」

「にゃにゃーん! これは自信あるよ! 答えは雄の方が雌より小さいだね!」

「おお! 大正解ですよ~! えーらいえーらいですよ〜。この時点で優勝はネコマ先輩に決まりなのですよ~!」


あちゃー負けちゃったかぁ……

在籍期間なら最年長のネコマ先輩が意地を見せて後輩に打ち勝ったみたいな感じの結果になったね。


「おっとここで締めにするのはまだ早いのですよ! 確かに答えは雄の方が小さいですが、その特徴を持つ生き物だったら沢山いるのですよ。大事なのはアンコウさんはその大きさの差が半端じゃないところなのですよ! こちらをご覧くださいなのですよ~!」

「「「えっ!?」」」


エーライちゃんが意気揚々と画面に映し出したアンコウの雄雌比較画像を見て、私たちは三人そろって驚きの声を上げてしまった。

画像を見て一番に思ったのは、本当に同じ生き物か? これに尽きた。

雌は私たちがよく知っているあの見た目なのだが、雄はその周りを泳ぐ小魚程度にしか思えないほど小さいのだ。


「アンコウさんにも沢山種類がいるのですが、例えばチョウチンアンコウさんの雌は大体60cmくらいに対して、雄は僅か4cmくらいしかないんですよ~。さらに驚きなのが交配方法ですよ! なんと雄が雌の体と一体化、つまりは融合することで交配をしているんですよ~」


ひ、ひええぇぇ……

皆想像だにしない驚愕の事実にうまく言葉が出ない様子だ。

最後にふさわしいとんでもない問題を終え、この配信は終了となった。

振り返って考えてみれば滑らかな進行に加え、生き物の雑学を上手く絡めた配信だったなぁ。

やはりこの後輩、結構なやり手のようだ。私も先輩として負けないようにしないと!

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