第64話クイズ動物の不思議3
「それではこの辺から難易度を上げていくのですよ~! 次のお題は『シャチ』さんです!」
「え、シャチ? 動物園なのに? どちらかというと水族館じゃ……」
「おっと光先輩それは既存の概念に囚われすぎなのですよ! エーライ動物園は『動く物』を動物と定義しているため、一般的な動物に加え海洋生物、爬虫類、両生類、微生物まで網羅しているヴァーチャル界屈指のテーマパークなのですよ!!」
「な、なるほど! 光は狭い観点しか持ててなかったんだね! 光はまた一歩成長したよ! ありがとうエーライちゃん!」
「都合が良いですな~」
「まぁ光ちゃんの為にもここはツッコまないで上げましょうネコマ先輩」
「にゃ」
逆に言えばエーライちゃんはそこまで広い知識を持っているってことだしね!
それにしてもシャチかー、子供のころは見た目が好きだったなー。でも飼育されている水族館が全然近場になくて実際に会ったことはないんだよね。
子供の頃の話だからあくまで見た目に惹かれただけで詳細な生態とかは全然知らないな。
ちょっとこれは厳しい問題かも……
まぁさっきも内心似たようなこと考えながらも正解しちゃったけどねー!
ふんふんっ! リスナーの皆には二連続で賢いシュワちゃんを披露しちゃうどー!
「パンダさんのような非常に愛くるしい姿をしたこのシャチさんですが、実は海の食物連鎖の頂点に立つと言われているほど強力な生き物でもあるんですよ~。雄の体長は約6mにもなり、骨格を見るとホホジロサメさんが可愛く見えてくるほどがたいなのが分かりますよ~。更には海洋生物でトップクラスの知性と群れによるチームワークが加わってもう敵なし状態なわけですよ! さてここで問題ですよ! 上記の理由からただでさえ最強の名がふさわしいこのシャチさんですが、更に一つそんなの卑怯だとも思える必殺技を持っているのですよ! その必殺技とはなんでしょうですよ~」
ま、まじで? シャチってそんなに強かったの? というか普通にでかすぎじゃない? 6mとかもう小さめのクジラじゃん!
かわいいのに強いとか勝組過ぎんだろ! 私なんてさっきの問題のせいでコメントでボノボ亜種とか言われ始めてるんだぞ!
ピコーン!
「はいネコマ先輩どうぞですよ!」
「ステータスが高すぎてパワーアップアイテムを使うとオーバーフローを起こして逆に弱くなる」
「はずれですよ~。前の回答の時から思ってましたけど、ネコマ先輩はこの世界をクソゲーかなにかと勘違いしているのではないかですよ?」
「私はクソゲーとクソ映画をこよなく愛するクソの探究者だからね。クソあるところにネコマありということさ」
「蠅さんかなですよ~」
ピコーン!
「はいシュワちゃん先輩どうぞですよ!」
「会社内で苦悩を共にしている仲間がいると思わせることで、毎日サービス残業の嵐でも文句を言えないようにする」
「はずれですよ~。それはシャチじゃなくて社畜ですよ~」
ピコーン!
「はいネコマ先輩どうぞですよ!」
「横タックルをすると同時に空間を歪ませることで当たり判定を広げる☆」
「はずれですよ~。ガノ〇トスの亜空間タックルはハイエナにでも食われてしまえですよ~」
コメント
:大喜利を始めるなwww
:IPP〇Nグランプリの会場間違えてますよ
:シュワちゃん回答の時の声完全に死んでて草
:実体験なんやろなぁ……
:理不尽な判定の悪い子はガンナー4人でしまっちゃおうね~
「三回回答が出たので恒例のヒントタイムですよ~! ヒントは『超音波』ですよ~」
ピコーン!
「はいシュワちゃん先輩どうぞですよ!」
「他の生物が聞き取れない超音波を使うことで公然でも堂々と下ネタを言うことができる」
「はずれですよ~。確かに公然と世界中の人々に聞こえるように下ネタを連呼してるシュワちゃん先輩には必殺技に見えるのかもしれないのですよ~」
「恥ならもう捨てた! そんな必殺技など私には必要なし!」
「シャチさんはもっといらないですよ~」
ピコーン!
「はいネコマ先輩どうぞですよ!」
「トルネードに乗って空を飛ぶことによってシャーチネードを起こす」
「シャーク〇ードみたいに言うなですよ! あとせっかく出したヒントに掠ってすらないのですよ~」
「にゃにゃーん! シャーク〇ードを知ってるとは、結構なお手前で」
「あれはサメ映画ではなくコメディ映画としてみれば神映画なのですよ~」
ピコーン!
「お! 満を持してボタンを押したのは光先輩ですよ! 回答をどうぞですよ~」
「ふっふっふ! 二人ともごめんね、光はどうやら答えに辿り着いてしまったようだよ」
なん……だと……
今までずっと沈黙していた光ちゃんだが、密かに私たちの先を歩いていたというのか!?
「エーライちゃんの話を聞くにシャチはただの強者じゃない、強者の中の強者、真の強者なんだよ。つまり光の答えはこれだ! 真の強者は触れるまでもない、見るだけで獲物を倒せるんだよ!」
……なーんだ、いつもの中二病な光ちゃんじゃないか!
溜めに溜めての回答だったからちょっとビビっちまったぜ。
ふふっ、光ちゃん、君は一つ思い違いをしているよ。
あまり強い言葉を遣うと――弱く見えるよ――
「おお! まぁこれは正解と言ってもいいのではないかですよ~! えーらいえーらいですよ~」
「ほんと!? やったー! やっと光も正解したよー!!」
なん……だと……
「シャチさんは超音波を凝縮させて獲物に当てると、例え遠くに居てもその獲物の感覚を麻痺させてうまく泳げなくするなどのことができるのですよ~」
なるほど。確かに強い言葉を遣うと弱く見えるな、今の自分の姿を見て痛感したよ。やっぱり私の言ったことに嘘はなかった。
特大ブーメランを食らってしまった私なのだった……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます