第16話二期生とカラオケオフコラボ1
「やぁ! 聖様こと『
「神成シオンこと『一ノ
「は、はい! 心音淡雪こと田中雪です! きょ、今日はよろしくお願い致します!」
ライブオン本社の玄関口で本名のこともあり改めて先輩二人と自己紹介しているのだが、もう緊張でカッチカチだ。
最近の激動の日々から少しはメンタル強くなったかなーとかひそかに思ってたけどこの状況は無理。
あとですね、私オフでライバーの方とお会いするのこれが初めてなんですけど、なんで二人ともこんなビジュアル良いんですか!?
聖様こと鏑木先輩はもうね、女子高の王子様って感じ。流石にアバターまでとはいかないけど高身長のショートカットですらっとしている。
顔だちもシャープでそこに居るだけで存在感がすごい。
更にシオン先輩こと詩織先輩は何というか……若い。
すごい可愛い顔だちなんだけど、至る所にあどけない要素が混じっている気がする。
「ふふっ、シオン君のこと子供だって思ったろ?」
「えと……はい、すみません」
「むむっ! それは勘違いですよ! つい先月お酒が飲めるようになりました! ……苦いの苦手なので実質飲めませんけど」
「はい!? じゃあ私と同じ20才ってことですか!?」
「あ、淡雪ちゃん同い年なんですね! 嬉しいです!」
何ということだ。ライブオンのママとまで言われた対応力の天才は私とほぼ同じ年月しか生きていないらしい。
というか私、今まで同い年の配信に母性を感じていたのか……
これはまずい! これからはシオン先輩に負けないように頑張らないと!
「ふふっ、緊張してます? いきなり誘っちゃってごめんね」
「大丈夫かい? ストゼロ飲む?」
「こら聖様! 悪乗りしないの! ほら、肩の力抜いてください。いっそのことタメ口でも全然OKです! もう私たち淡雪ちゃんにプロポーズされてますしね!」
「ひえっ、そ、その節は本当に申し訳ない……」
「いいんですよー! なんだかんだいって面白かったので!」
私の両肩に手を置きとんとんと力を抜くよう軽く叩いてくれるシオン先輩。
ああ、これは完全にママですわ。即落ち2コマですわ。シオンママすこすこのすこ。
そして自己紹介も終わったので、さっそく食事に行くことになったのだが……
◇二時間後◇
「おっすおら淡雪! 今日は聖様とシオン先輩とでカラオケに来てるどー!!!」
「やぁ諸君! みんなの聖様が来たよ!」
「こんみこー! 今日はご飯食べてコラボの打ち合わせするつもりが、なぜか即興でコラボ始まって困惑必至のシオンだよー!」
コメント
:ふぁ!?
:これってもしかしなくてもオフコラボなのでは?
:キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
:ま じ か
:シオンママを生贄にしたサバトの会場ですか?
:てか絶対シュワちゃんストゼロ飲んどるやんけ!
:プシュ!
:こんみこー!
:キャー聖様ー!!
:ママを困らせることしかできない悪ガキ二人
:伝説の夜はこうして始まった
どうしてこうなった?
この突っ込みどころ満載の状況の全ては、お店のメニューから始まった――
聖様曰くVの食事でしかも奢りとなれば焼肉しかないでしょ! とのことで、聖様おすすめの焼肉屋さんに入ったのだが……
・生ビール
・サワー
・コーラハイボール
:
:
:
・スト〇ングゼロ(おすすめ!!!)
………………
「さぁ田中君! ドリンクはどうする!」
見るからにワクワクを隠しきれない様子で問いかけてくる聖様。
これは……
「……じゃあこのウーロン茶で」
「フフ......へただなあ、田中君。へたっぴさ........! 欲望の解放のさせ方がへた....。 田中くんが本当に欲しいのは...こっち」
「いやあの」
自信満々でストゼロを指さしてくる聖様。
「肉を網の上で....ホッカホッカにしてさ......冷えたストゼロでやりたい......! だろ....?」
「あの! いったいこのメニューなんです!? 明らかに違和感しかないんですけど!?」
メニュー表のドリンク欄一番下にある明らかにテープに文字を書いて貼っただけの、後付け感を隠す気もないスト〇ングゼロの文字に、いい加減耐えられなくなったので突っ込みを入れてしまう。
「……メニューにいたずらしたらだめですよ」
「大丈夫、すぐ剥がすから。店の許可もとってるし」
「許可出たんですか!?」
「で、飲む? ストゼロ本当にあるけど」
「え、あるの!?」
「焼肉屋だからね」
「や、焼き肉屋ってすげー!!」
私が全く行かない間に焼き肉屋はストゼロを置くよう進化していたのか! やりますねぇ!
「あはは……このお店はね、鏑木ちゃんのご両親が経営しているお店なの」
「あ、なるほど……」
どういうことなのか分からず頭が追い付かない私を気遣ってか、一ノ瀬先輩がネタばらししてくれた。
「もう、勘弁してください鏑木先輩!」
「あははっ、ごめんごめん! でも……飲みたいんだろう?」
「――ごくり」
「私も久々に飲みたくなったし、一緒にストゼロ……キメないか?」
「私はオレンジジュースだよー!」
ウホッ! いい女! まぁほいほいついていったよね。
そんでその後はおいしい焼肉食べながら……
「実は歌の企画で困ってましてー」
「お、じゃあこの後カラオケで練習行っちゃうかい?」
「お、いいねー! 私も行きたい!」
「いいですね! 行っちゃいましょうよ!」
という鏑木先輩の誘いから始まり……
「そうだ、私打ち合わせに使う用でノートPC持ってきてるから、配信もしてしまわないかい?」
「おん?」
「いいですね! やっちゃいましょうよ!」
「おんおん?」
「実はこうなることを予想してカラオケ店の予約もばっちりさ!」
「流石鏑木先輩! そこにシビれる! あこがれるゥ!」
「おんおんおん? あれ? 打ち合わせは?」
といった流れで、おんおん困惑気味の一ノ瀬先輩をつれて酔った二人の勢いで即興カラオケコラボが決まってしまったのだ。
「えっと、どんな状況でも頑張って進行役を担当します、シオンです! 前半はマシュマロ返して、後半から歌っていくからよろしくー!!」
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