第14話清楚配信3

『プニキのホームランダービー』

鈴木さん曰くプニキという可愛い黄色熊のキャラクターを操作して、様々なピッチャーから決められた数以上ホームランを打つゲームらしい。

ゲーム内容は本当にそれだけらしく、難しい野球のルールとかも知らなくていいから雪さんでもすぐプレイはできるとのことで、ゲーム自体久々な私も結構楽しみにしていた。

なのだが……


コメント

:プニキwwwwwww

:あっ……

:なんでその精神崩壊ゲーを選ぶのか

:ハランデイイ

:トラウマがあぁぁ!!


あれれ~? おかしいぞ~? なんだかコメント欄がざわついてるなぁ?


「あのー……このゲームなにかあるのですか? 私このゲームマネージャーさんに勧めてもらった身なのでゲーム内容把握してないのですが……」


コメント

:まて、その先は地獄だぞ(体験談)

<昼寝ネコマ>:にゃにゃーん! クソゲーの臭いを嗅ぎつけてきたぞー!

:ふぁ!? ネコマー来てるやん!?

:嗅ぎつけるの速すぎだろ笑

:流石汚物ジャンキーの名は伊達じゃない


「えええええぇぇぇ!?」


ネ、ネコマ先輩!? ネコマ先輩ナンデ!?

前にも説明したが、ネコマ先輩はライブオン二期生のクソゲーとクソ映画をこよなく愛す汚物ジャンキーの獣っ娘だ。

ま、まさかこんな羞恥配信を見ていたなんて……

というかこれで二期生全員が私の配信に来たことになるのでは?

ああ、動悸がしてきた……

…………あれ? もしかしてなんだけどさ、ネコマ先輩が来たってことはもしかしてこのゲーム……やばい?


背筋に走った嫌な予感。どうやらそれは当たってしまったようで……


「お! やりました! ヒットですよ!」


プニキの物理法則を無視したバットを振る速度に若干困惑しながらも、初めてヒットを出した時には――


コメント

:おお!

:うん、普通ならめでたいんだけど……

<昼寝ネコマ>:にゃにゃーん! ネコマが解説しちゃうぞ!

:知っているのかネコマ?

<昼寝ネコマ>:このゲーム、ホームランの回数だけをカウントするからヒットは空振りと変わらないのだぞ


「は?」


コメント

:ヒェッ

:は?(威圧)

:化けの皮剥がれてきてますよ

:ミ〇ッキュかな?

:ま、まだ清楚だから!



なるほど、どうりでこのゲーム内野も外野も誰もいないわけだ! そもそも野球じゃないんだなこれ!

うんうん、確かに鈴木さんの言う通り『様々なピッチャーから決められた数以上ホームランをとるゲーム』だ。 

今度覚悟しとけよこの鬼畜マネージャー!

しかもこれだけでは終わらず、やがてゲームが進むにつれてピッチャーが現実では見たことがない軌道を描く変化球を投げだし――


「こいつはやくメジャーリーグいけよ」


コメント

:冷静な突っ込みやめろwww

<昼寝ネコマ>:キッズ向けゲームなのに製作者はどうしてこれを作ろうと思ったのか、謎で仕方ないね

:今自称清楚ちゃんがこいつって言わなかったか?

:頭にストゼロそそがれてきたな

:せいs……せい……

:鬼畜ゲーに感化されて段々シュワちゃん化してきたの草


そして築き上げるミスの山になんだかんだ言いながらも着実にゲームを進めていった私だったが、stage6に入ってかつてない足止めをくらっていた。

相手のピッチャーは『オウカス』という名のフクロウで、投げてくるのはナックルボールなんて比じゃないくらい左右に揺れる変化球。

最早ホームランが打てるかは運ゲーと化しているこのボール相手に35球中19本もホームランを打たなければいけない。

こいつのせいでもう時間も深夜を回ってしまった。

だがここで本日最高のチャンスが到来! 投げられる球は残り1回だが、ホームランは18本打っている。

つまりラスト一球を打てば私の勝ちなのだ。

ここで……ここでなんとしても決める。

大丈夫、私ならできる、ネコマ先輩やリスナーの皆まで見てるんだぞ。

完全に勝利フラグ立ってるわ、勝ったな、寝る準備します。

私、この戦いが終わったら夢の中でみんなの配信見るんだ……


「いくぞおらああああぁぁぁぁぁ!!!」


スカッ!


「ゴミカスゥゥゥゥっ!!!! 〇ねぇぇぇぇえ!!!」


コメント

:草

:大草原

<昼寝ネコマ>:草だね!

:清楚の欠片もなくなって草

:もうこいつ実質グリーンバブーンだろ笑

:名言生産工場

:全ての発言を切り抜かれる女


「――はい。というわけでですね、今日の配信はここまでにしたいと思います。次もまた淡雪の降る頃にお会いしましょう。このゲームはいつか必ずリベンジします」


コメント

:乙www

:ほんとおもしれぇ女

:正体現したね

<昼寝ネコマ>:このゲームはまだまだ闇が深いからこれからも楽しみにね!

:清楚ではないしシュワちゃんにもなってたけど、ましろんの言いつけ通りストゼロ飲まなかったのえらい

:確かに

:なんだかんだ約束は守る子なんやなぁ


次は絶対クリアするからなぁ!

……私ってゲームにこんな熱くなるタイプだったんだなぁ…………

あまり難しいゲームとかやってこなかったから知らなかった……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る