異世界転生するならチート能力欲しいよね?リセマラしない?
名無死
インストール
っってぇぇぇ。尻に強烈な痛み。その痛みはじわじわと俺の体を蝕み、思考力を奪って行く。俺の頭から霧が晴れた頃、ようやく状況整理を始めることができた。どうやら俺は尻もちをついたようだ。そして、俺は見知らぬ場所にいる。立ち上がろうとして手を地面につくと、ざらざらとした感触が。これはあれだ。俺が子供の頃から触れてきたあれだ。
土。うん。土。紛れもなく土。しかも辺りは真っ暗。さっきまで自分の部屋にいたはずだよね?なんでこんなところにいるんだよ。
悲報:俺氏、ついにボケる
夢?いや、夢なんかじゃないことはさっき、いや今も感じる尻の痛みが必死に訴えている。これは、あれだな。寝転がってソシャゲをやってる時にスマホを落とし、顔にくる痛み。そのものだ。
「やっと目が慣れてきたな」
俺はぶつぶつと独り言を言いながら立ち上がる。尻についた砂もついでに払う。ようやく慣れてきた目を擦りながら俺は辺りを見渡す。
「ゴアアアァァァァ!!!」
目が覚めて俺が一番初めに目にしたのは
口から火を吹く上半身が人間、下半身が馬の姿をした俗に言うケンタウロスという化け物だった。ふっ。目覚め一番に見たくないものランキング三位以内に入賞するかもしれない。
てかこいつ、何?夢じゃないんだよね?だって。ってことは…ってことは…!?
「俺異世界転生してんじゃん!!」
ってことは俺めっちゃ強いかもしれないじゃん!異世界転生ってチート能力があるお決まりじゃん?氷タイプの俺があの化け物に氷でもぶつけてボコボコにそして近くにいるかもしれない聖職者の巨乳の子なんか救っちゃって?助けてくれたお礼に一緒に来てください!って言われてここから俺の異世界ファンタジーが始ま…
「るかもしれないけどとりあえず逃げます」
俺は化け物と反対方向へ全速力で走り出した。うん。素晴らしい判断。俺がめちゃめちゃ強くてもスキル出せなきゃ意味ないもんね。決して怖くて逃げたわけじゃないからね!?
走り続け、スタミナがなくなったところですっ転んだ。最悪の出だし。謎に尻餅ついてからのスタートでモンスターを見つけると同時に腰を抜かして逃げ出し、疲れて転んで今に至る。もし誰か見てたら首絞めてバラバラにして海や山に捨ててって頼むレベル。
「とりあえず今の状況を整理することが大事だな。興奮して馬鹿なことをし出すと死ぬってのがお決まりって…俺結構やばくね!?」
今のところフラグ全回収してる。いや、今死んでもおかしくないよね?!
「ええーっと、俺は
きっとそこで俺は通り魔とかに刺されて死んだのかもしれない。変な儀式とか魔法陣とかもなかったし、異世界召喚じゃなくて異世界転生って考えるのが妥当だろう。
てか、あれ。あれだよ。異世界だとお決まりの。あれ。
「いでよ!俺のステータス画面!!ま、こんなんで出ると思わねぇけど…」
俺は右手を顔に添えて高らかに唱えた。右手を添える意味はないが、これをやるとかっこいい。自分が悪の帝王にでもなった気がする。
「って、本当に出てきた!?」
俺の目の前にはプロジェクターのように文字の羅列が映し出されていた。
すげぇ、まじハイテク。こんなのガチのアニメでしか見たことがないから今目の前で見るのが本当に現実か疑っちゃう。
名前:天明涙
性別:男
レベル1
種族:ニンゲン
HP:5/100
MP:0/0
SP:200/200
物理攻撃力:5
物理防御力:6
魔法攻撃力:0
魔法防御力:0
速度:9
知能指数:3
スキルポイント:0
現在取得可能なスキルはありません
リセマラ
「えーっと…見間違い、じゃねーよな」
死ぬ間際になると人間ってなんで叫ばないのかずっと疑問だったけど今それが解決したわ。人間、絶望すると返って冷静になる生き物だこれ。
何度目をこすってもステータス画面を閉じたり開いたりしても一つの差も出ないステータスに俺はガックリと肩を落とした。
「異世界転生ってさぁ、なんかもうちょっとこう、ぶっ壊れ能力とかついてくるもんじゃないのかよ…」
どうやら俺は最弱ステータスで異世界に転生してしまったようだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます