第24話 スライムってやっぱりチートだ。

『MPほぼ無尽蔵のスライム』カケル『魔力操作』イコール『無敵』


 そんな図式が頭の中で浮かんだ。


「スラスケ…多分お前の魔法1発で終わるわ。魔王戦」


「だろうな」


「ああ、やっていいぞ」


「何撃てばいい?」


「任せる」


 ・・・


「いや待って。やっぱり火球でよろしく。」


 何でもなんて言ったらとんでもないもの撃ちそうだしな……。


「もうやったぞ?」


「は? 何を……?」


 何も起こっていない。不発か? いや、魔力操作でそれはありえない気がする……最上位の魔法スキルだし。


「何を撃ったんだ?」


「えーと、『ドカーンとして強い魔法』だな」


「MPはどれくらい使った?」


「全部」


 ……は?


 ――ドカーンッ!!!


 巨大な隕石が降ってきた。


「お……おい。人間助けるために戦おうとしてたのに…」


「やっちまったな」


 ステージごと跡形もなく吹き飛んでいた。人間ももれなくだ。魔力操作の恩恵なのか、ボスステージが特殊なのかは分からないが、俺たちを含め、ステージ以外は全て無事だった。


「もうちょっと考えろよ……」


 あまりの出来事に気後れして怒鳴る余裕はなかった。


「まぁいいじゃないか」


 やってしまったもんは仕方ないけど良くはねーよ。アホなのか!? お前アホなのか!? いや、アホなのはわかってた。なんでもいいと言ってしまった僕が悪いのか……?


「はぁ、仕方ないけど、第1の魔王は討伐完了だな。」


「余裕だったな!」


 ……そりゃあな。猪王キングボアは半分以上HP削れてたし、お前はドラゴンの1件で馬鹿みたいに強くなってたし。何より隕石降ってきたし。ぶっ壊れすぎだろ。ゲームバランスどうなってんだ……。


「何も言えねぇよ。」


「魔王討伐したんだし次行こうぜ次!」


 完全に調子乗ってる。スライムにとって魔法使えるってことは多分めちゃくちゃ誇らしいことなんだろうな……。しかもあの威力……


「あんまり調子に乗るなよ。死ぬぞ」


「お? 嫉妬してんのか?」


 こぉぉ!!! ……ムカつく。してねーよ。しかも嬉しそうに跳ねている。そういえばまだリズの転写解いてなかったな、MPもまだまだあるしこのまま次の魔王まで行くか?


 とりあえず2匹はリズの元へ戻った。


「凄かったですね! 誰の魔法なんですか?」


「もちろん俺だっ!」


「スラスケさんのだったんですね! 凄いです」


「だろ?」


 言っとくけどリズの方が何百倍も強いからな。チートスキル持ちだし。個体特性の欄の『獣神』ってやつはまだわかんないけど多分チート系のやつだし。


「とりあえず初魔王討伐ということで、なんかしよう!」


「そうだな!!」


「そうですね!!」


 ・・・


「で、何するんだ?」


 考えてなかった。魔物って何するのが楽しいんだ……? 食事? いや、スライムのアレは食事とは言える代物ではないし……じゃあ何を?


「……リズはなんかない?」


「そうですね……んー、特にないです。」


「俺もないな」


 んー、仕方ない。次行こう。


「なんもないし、次行こうか。」


「だな」


「ですね」


 こうして、上手く締まらぬまま、第1の魔王猪王キングボアの討伐が完了した。

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