第14話 ちょっくらお出かけ

 魔猪ヘボアを片付けて、奥に進むぞー!!


「スラスケ、そろそろ奥に行こう。ここじゃレベル上げの効率が悪いから」


「おう!」


 残った2匹の魔猪ヘボアにトドメをさし、僕達は森を少し進むことにした。少しと行ってもこの周辺は弱い魔物しか居ないためちょっとした遠出になる。


「レベルが1だけ上がったな〜」


「え? 俺上がんなかったぞ?」


「僕がダメージ多く与えたからね」


 レベル1上がっただけだが、晩成型はこの辺りからステータスの伸びがちょっとだけ大きくなってくる。ちょっとだけ確認しとこう。



 種族『プレーンスライム』

 Lv2 ♂ スラオ


 進化まで後Lv48


 HP: 91 MP: 58


 攻撃力: 64

 守備力: 85

 素早さ: 41

 魔法耐性: 33


 特技 転写


 スキル 毒霧 硬化 撃進 鞭打ち トゲ


 個体特性 無し


 特殊技能 無限成長


 称号 転生者・超晩成型・進化者・変態



 初期の頃から比べれば、ステータスの伸び率はものすごいなー。この調子だと次の次の進化当たりで猪王キングボア倒せるんじゃないか? そのために魔物たくさんからないとな。


「そんなことあるなら先に行ってくれよーわざと言わなかったんだろ?」


「単純に忘れてたわ」


「大事なことだろー。忘れるなよ」


「すまんすまん」


 2匹はずんずんと奥の方へと進んでいく。


 ――ガサガサッ。


「あっ、あの!」


「うわっ! びっくりした」


「なんだ?! 敵か!?」


 突然横の草むらから1匹の真っ白な子犬? が現れた。体高が人間の膝下くらいの小さいサイズ。そして、何故か別の種族なのに念話が通じる。


「ちっ違います! あの……冒険者を倒すところ見てからずっとつけてきてました。私をあなた達の仲間にしてくれませんか!」


 いきなり、なんだ? 冒険者を倒すところから……ってめっちゃ前じゃん! しかも仲間になりたいって……どういうことだ? 犬は群れで行動するはずじゃないか?


「え……群れは?」


「群れ? ってなんですか?」


「犬って……群れで行動するよね……?」


 え? 僕が間違ってる? いや、間違うはずないんだけど。ゲームやってたし。


「わかんないです」


「うーん、仲間に入れる分には良いんだけど、僕達見ての通りスライムだし弱いよ?」


「えっ!? いいんですか!? これからお願いします!」


 おっと……最初しか聞いてないな。まぁいいか。しかし、こんな魔物見たことない……全部がゲームと一緒ってわけじゃないのかな? とりあえずステータス確認っと。



 種族『獣狼神』

 Lv23 ♀ リズベルト・サンテリア


 進化まで後Lv---


 HP:2513 MP: 1835


 攻撃力: 2874

 守備力: 1972

 素早さ: 3751

 魔法耐性: 2913

 魔力:5217


 スキル テオス


 個体特性 獣神



 は……? 『獣狼神じゅうろうしん』? 幻、というか伝説の魔物じゃないか……は? え? いや、他にもツッコミどころあるんだけど……いや、ツッコミどころしかないんだけどね。は? なんでこんな所にいるの? しかもまだ子供だよね? は?


 驚きすぎて語彙力が落ちてしまっていた。


 おほんっ。気を取り直して、せーの。


「はあああああああ!?!!!!!」


 「へ………っ?! いきなりなんですか?!」


 「うるさいぞスラオ!」


 ちょっと待て。『獣神』って、おい。いや、ありえんだろ。ここ序盤の森だぞ!? しかも……ステータス……。さっきめちゃくちゃ伸び率上がったとか言って喜んでた僕が超クソ雑魚に見えるじゃないか……。



 獣神。それは、名前の通り神である。ゲームの世界では、「五大獣神が世界を創造し、その後5つに区切ってそれぞれがその世界を治めている」という設定があった。そしてそれはゲームの中では『伝説』として、実際には存在しないものとされていた。しかし、実際には存在しており、隠し裏ボスとしてトップランカーのみがその存在を知る権利と対戦権を得ることが出来たのである。


 つまり……存在することを知っていたスラオは、元トップランカーだったのだ!!(多分だけど強調するとこそこじゃない)


 気を取り直して……目の前にいるのは正真正銘の『神』なのだ! そして、目の前にいる事自体おかしな事なのだ!!

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