第9話 攻撃は最大の防御……

 魔猪へボアの群れを見つけた2匹はスラオの指導の元、魔猪へボアでレベル上げ、通称『ボア狩り』をするために穴を掘った。


 ふっふっふ。僕が考えた作戦を皆さんにご紹介しましょう!

 へボアの守備力は平均60程度、そして、僕の今の守備力は37。それを硬化で倍にします。すると、74にもなるのです!


 え? それだけかって? え、っと、はい。それだけです。ですが! 僕にはトゲがあります! トゲを操れるのでまとめて1本の大きなトゲにして守備力を高めれば、石を砕くドリルのような感じになるのです!


 えっと、ようするに、石ってその石より硬いものとぶつけると、柔らかい方が砕けるじゃないですか。だからー、それの応用で守備力で勝ってたら大ダメージ与えられるかなーと…。あー!! ものは試しだ! じっせんあるのみ!


「スラオ、もうすぐで来るぞ」


「全部入ったら上から毒霧かけてくれ」


「任せろ」


 トゲを集約させ、1本にまとめる。円錐のような形になった。そして、硬化をかければ…完成だ! 早速1匹目が落ちてきた。上手くいくか?


「ふぎー!」


 うぶっ。重。けど、丁度腹に当たったようだ。狙い通り大ダメージが入った、よな? 覆いかぶさってるから暗くてよく見えね。


 どさっどさっ。


 なっ?!! 重っ。これやばい。しかも3匹目に関しては多分届いてないし。


 「スラオー、大丈夫かー?」


 スラスケの声が頭に響く。あっ言い忘れてたけど、魔物って基本喋らないでしょ? 口がないってこともあるけど、大体が『念話』なんだよね。だから近くにいれば、相手に悟られることなく意思疎通できるんだ。高位の魔物になると人語を話せるけど、普通の魔物は話すことはおろか、人語を理解することもできない。


 「大丈夫だ。」


 「追加でもう2匹来るぞー」


 「え………?」


 ーーードスっドスっ


 ぎゃー!!! 圧死する・・・やばい!? 5匹はやばいだろ?! スライムの特性活かしてなんとか隙間に入り込んで耐えてるけど。


 「ス、スラスケ・・・毒霧頼む。」


 「大丈夫か? ま、会話できてるんだし大丈夫だろ」


 スラスケの大雑把がこんな時に………少しは心配してくれ!


 「んじゃいくぞ」


 穴の中に毒霧が充満していく。僕も上に上がろう………体をくねらせ魔猪へボアの体を登っていく。


 「はあ、やっと穴の外に出られた………」


 「ずいぶん疲れているようだな? 中で何してたんだ?」


 「ちょっと、試したいことがあってね。死ななかったけど、良い感じにダメージは入ったと思う」


 「そうか」


 え? なぜ結局毒霧使うのにわざわざあんなことをしたかって? 一つはやってみたかったっていうこともあるけど、一番は、毒霧なんだ。覚えてない? Lv2の大蟻ビックアントを倒したときのこと………そうなんだよ! たったHP8を削るのでさえしばらく待たなきゃいけないくらい効果が弱いんだよ。だから、手っ取り早く倒せそうなのを選んだんだが………精神的にめちゃくちゃ疲れた。


 ………あれ? これってどのくらいかかるんだ? 自然回復も計算に入れないといけないし………毒は1週間で解毒されるし………いや、1週間もあれば片付くか? レベルアップしたかったのにこれじゃ時間がかかりすぎる………。



 「スラスケ、先に湖いこう。」


 「なんでだ? ほっといたら逃げられるかもだぞ」


 「いや、魔猪へボアは突進に特化しすぎてて飛んだりできないから大丈夫だ」


 穴の中で5匹の魔猪へボアがフギフギと鳴いている。かなり暑苦しい絵面だ。


 「なら良いか。お前のその気持ち悪い動きの確認もしないといけないしな」


 「気持ち悪い言うな」


 2匹は、一旦その場を離れて湖へと向かおうとしていた。


 「あれほっといて離れても経験値入るのか?」


 「ああ、大丈夫だ問題なく入る。あれが入れば一気に進化できるだろうな。」


 多分ステータス補正も入って通常より多い経験値がもらえるはずだ。


 「次の進化はなんなんだろうな? 特にお前」


 「んー、トゲの次かー。また変異種の進化先になるのかな?」


 「触手が生えたりしてな」


 スラスケがはははと笑う。やめてくれ、変なフラグを立てないでくれ。触手なんか生えたらもっと汚い絵面になるだろうが。


 湖についた、早速自分がやってた動きをやってみる。


 ーーーうわぁ………確かにキモいわ。


 その姿は青色のウニが倍速で動いてる時のような感じでした。はい。みたことなかったらググってみてください。『ウニ 動き 倍速』で。

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