階級闘争からの逃走

ジュン

第1話

僕は言った。

「やっぱり社会の上級で生きたい。お金もいっぱい持てるし」

彼は言った。

「お前はいやしいやつだ。金持ちになりたいなんて」

僕は言った。

「じゃあ、下級で生きたい。ミニマムがいい」

彼は言った。

「お前は向上心のない、堕落したやつだ」

僕は言った。

「じゃあ、真ん中がいい。一番バランスがいい」

彼は言った。

「お前は保守主義なんだな。安定路線を行くのか」

僕は言った。

「じゃあ、どうすればいいのさ!」

彼は言った。

「『今』の自分が下にいるなら上を目指しなさい。上にいるなら下に向かいなさい。真ん中にいるなら上か下を目指しなさい」

「どういうこと?」

「人生安泰ほど、退屈なことはないよ。不安定でいなさい」


終わり

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階級闘争からの逃走 ジュン @mizukubo

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