(二)‐15

「失礼しました。あの阿仁という男は、この町の比寄組という組のヤクザ者でして。我々も日々目を光らせていしてね。今回の故人とはどういう関係かは存じ上げませんが、そんな男ですので関わりにならない方がいいですよ」

 入ってきた二人の刑事のうちの年配の刑事がそう言った。俺は「はあ」としか答えようがなかった。阿仁の言動もそうだし、急に刑事が入ってきたこともそうだが、何より、そのような人間に父はいつどこでどんな世話をしたのかと驚いた。父はただの銀行員ではなかったのか。


(続く)

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