(二)‐9

 実家は川居駅の南西部の丘陵地帯の畑と民家が点在するエリアにあった。一軒家の自宅の入口に掲げられている表札の下には、黒い縁の紙が貼られていた。通夜と告別式の予定が書かれていた。

 その入口を通り、自宅の玄関を開けて中に入った。うちの中で一番広い間取りのリビングに入った。実家を出て神戸へ引っ越す前から俺も使っていた三人用のソファがキッチンの方へ寄せられていた。そうして空けられたスペースに布団が敷かれており、そこに父と思しき人物の遺体が寝かされていた。顔には白い布がかけられていた。

 こうして俺は父の遺体と対面した。


(続く)

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