第43話 仲人②

真奈美は、エイトナインで初めて採用したアルバイトだ。最も、その当時のエイトナインは会社を立ち上げたばかりで、正社員を雇う余裕がない為にアルバイトという形をとったまでで、実際にはそれまで菅ちゃんが一人で、社長兼、事務兼、雑用をこなしていた、いわゆる「社長一人、社員ゼロ」の時代に初めて迎えたスタッフだった。

真奈美は、元国際線の客室乗務員という経歴をもつ変り種で、その経歴同様、華やかでとても美しい女性だ。美しさを表現するのはとても難しいが、もし10人の男が真奈美とすれ違えば、多分その全員が振り返るであろうと思う。事実、毎日事務所で顔を合わせている僕でさえ、時々ハッとする程美しい。

彼女の最大の魅力は、凛として力強い意志を持ち、それでいてどことなく物悲しさを醸し出すその瞳だ。

「吸い込まれそうな瞳」という表現があるが、僕は真奈美と出会って初めて、「こういう瞳をそう呼ぶのだな」と思ったものだ。

その彼女が、なぜエイトナインで働く事になったかという経緯を、僕は菅ちゃんから聞いた。



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