第10話

私の出来るお手伝いが増えてきた。


出来ることがあるのは、自分が認めてもらえている気がして嬉しかった。


でも、祖母はそれ以上のことを毎日行なっている。


本当に凄いなぁ。


(でも、どうやって色々なことが出来る様になったんだろう?)


幼い私は不思議だった。


(誰かに教えてもらっているのかな?)


私は疑問を祖母にぶつけてみた。


「おばあちゃんは何で色々なことが出来るの?誰かに教えてもらっているの?」


すると祖母は

「特別なことをしている訳ではないよ。必要だと思うことを出来る範囲でやっているだけだよ」


「でも...」

と、祖母は少し考えていた。


「教えてもらったと言えば、おばあちゃんが子供のころ、奉公に言っていた時に色々やっていたことが今役に立っているかも?」


「奉公?」

私は聞いたことのない言葉が頭の中をグルグル回っていた。


奉公(ほうこう)とは、江戸時代から戦前まで地主から田んぼや畑を借りて作物を作っていた人の子供が地主の家に住み込みで働くことのようだ。


祖母は、地主たちの食事を作ったり、子守をしたり、買い物にも行っていたそうだ。


私も祖母と同じ時代を生きていたら奉公に行っていたかもしれない。


今、便利で平和な時代であることが有難い。


私は

「おばあちゃんは大変だったんだね。私はおばあちゃんが喜んでくれることをもっとしたい!」と祖母の手を取り、ギュッと握った。


祖母は

「大きくなったら、たくさん手伝ってもらうね。今は出来ることをしてくれるから、それが1番嬉しいよ!」とニコッとしてくれた。


(私はどんなことが出来るようになるのだろう)


(早く大人になりたい)


(おばあちゃんに楽をさせてあげたい)


幼い私はそんなことを考えるようになった。


2020年の現在。

核家族化が進み、三世帯で暮らす家族が減っていると聞きます。


祖父、祖母の昔話を聞く機会が減っているのは、本当に寂しいと私は思います。


さて、幼い私の日々に戻りますが、無事幼稚園を卒業し、小学生になれました。


次回からは小学生になった私のお手伝いに関してお伝えしていきますね。


それでは、またね!





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る