第2話
祖母のためのお手伝い。
さて、何をやったらいいのだろうか?
日頃祖母は、料理、掃除、洗濯、買い物と主婦の行うことを全てこなしていた。
空いている時間は、福祉会館で開催されている踊りのサークルに参加していた。
(私が出来ることは何もないじゃないか!)
そう、小さな私には全てが未知の世界。
出来ることなんてなかった。
夜になり夕食を済ませてからは入浴までは少し時間があった。
私は祖母に
「おばあちゃんは何で何でも出来るの?」
と質問してみた。
祖母は突然の質問に目をまるくし
「何でもは出来ないよ。でも誰かが喜んでくれるから、色々とやっているのかもしれないね」と答えた。
私は祖母が何を言っているか分からなかった。
(おばあちゃんは魔女だから何でも出来る)みたいな返答を小さな胸に抱いていたからだ。
しばらくして入浴の時間になった。
いつも私は祖母に背中を流してもらっていた。
小学校に上がる前だったので、今思うと祖母に甘えきっていたのだろう。
そんな私を尻目に、祖母は本当に優しかった。
丁寧に背中を洗ってくれていた。
「いつか、1人でお風呂に入れたらいいね」
と一言添えて。
(これだ!!)と私は思った。
1人でお風呂に入れたら、祖母は喜ぶかもしれない。
それからは、1人でお風呂に入れる練習をした。
服を着たまま乾いた手拭いしっかり持ち、背中に当てて洗う仕草を繰り返した。
イメージトレーニングも繰り返して準備を整えた。
そして、その日はやってきた。
「私は1人でお風呂に入れる」と祖母に伝え、一連の流れをこなした。
祖母は
「こんなに早く、1人でできるようになるとは思わなかった」と驚いていた。
しまいには、
「よく出来たね。エライね」と頭を撫でてくれた。
1つやり切った思いで誇らしかった。
褒めてくれた祖母は入浴後の片付けをしていた。
(この片付けもやれたら褒めてくれるかな?)と思い、祖母の様子を私は見ていた。
次の日、入浴後の片付けを見様見真似でやってみた。
オケと椅子を片付け。
浴槽にしっかりと蓋をした。
シャワーで泡を流し、床にゴミがないように気をつけた。
これを知った祖母はとても喜んだ。
「綺麗に出来たね!お手伝いありがとう」と言ってくれた。
(やった!)
私に出来ることが増えたのだ!
1人でお風呂に入れるように頑張ったら、祖母のお手伝いが出来たのだ!
誇らしい1日!
この日は興奮して眠れなかった。
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